salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー (リェージュ)

(6/8)


8〜9年程前だか、大統領が替わって文化政策も転換して、芸術家にとってパリは住みやすいところではなくなっている。たまたまその折のデモにちょっと参加したのだけど、その後の変化はなんとなく感じている。せっかく培って来た芸術の都のイメージなのに惜しいことだ。今回もパリはサラっと済ませた。


そしていよいよフランスを出てベルギーへ。駅でジョン・ミッシェルの出迎えを受ける。
かれは前回の主催をしてくれた人だが、その時ぼくの演奏を聴いて以来、お世辞でなくぼくの音楽をリスペクトしてくれている。彼自身ミュージシャンで色々な音楽を作っている人なのに、ぼくの3日間のベルギー滞在に骨を折ってくれて、彼女共々快適な宿泊環境も整えてくれ、また結局3日間とも演奏会を作ってくれた。本当にありがたい。
常々ぼくは自分がプロミュージシャンといいながらも、実際にはそれで食っているとは到底いえるものではなく、もどかしさや負い目も感じないわけではないのだが、かれは、音楽のために生きているじゃないかと勇気づけてくれた。


着いた当日は一休みした後、車で1時間のリェージュに向かった。
向かう先は L'An Vert。ここは9年程前にまだヨーロッパの右も左も上下も分からない時にトリオで訪れ、思い出深い所なのだ。そこでソロ演奏ができることは本当に嬉しかった。
でも今回も日帰りなので、残念ながら前回同様このお店以外街を見ることはなかった。


例によってミュージシャン関係者揃ってボローニャ風パスタを食し、出番は最後の3番目で10時を過ぎた。
いつものパターン中心にプログラムを組んで演奏し終えた。拍手は鳴り止まず、立ち上がる人も現れた。ミュージシャン冥利に尽きるなあ。ロッカーもハートに来たゼ、と言ってくれるし、やってきたこと、やっていることの確信を得られた。お礼に「キホウ」を演奏して終了。


演奏後、膝に来る疲れを感じ、へたと座り込んだ。今までにないことだ。今の曲目編成と組曲風に一気に演奏するやり方では、かなり疲れるし呼吸もぎりぎり限界に達していることは知っている。でもだからといってそれを変えるのは違うと思って挑戦を続けている。それにしても、その疲れ方が段々とひどくなっている気もするが、歳のせいか。そういえばほんの少し鼻がつまっているようで、それには気がつかなかった。ぼくの息継ぎは基本鼻でやっているので、それでは困るんだけど。


就寝は3時半になったが、眠くて疲れているのに関わらず眠りが浅かった。身体が興奮しているようだ。