salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー (ブザンソン)

(5/25-29)


チューリヒからフランスへの車窓では、太陽も顔をのぞかせたが雨もありの雪も降るはの荒れ具合だった。
ローザンヌディジョンで乗り換えてブザンソンへ。ローザンヌ駅でパンを買った際にお金を入れた封筒を落とし、電車が入ってきた時に気づいてあわてて戻ったところ、その場所に落ちたままになっていて肝が冷える一幕もあった。


駅にはセバスチャン・レンポートが迎えに来てくれていた。
2010年にかれと彼女のエステラにナポリで出会った。ナポリのあとでシグナルトリオで参加したフランス、アスケスノンのフェスティバルは、なんとかれらのブザンソンの家から近い田舎町で、しかも、かれらも長いナポリ滞在を終えて帰るところだった。
フェス会場に1週間滞在中に、彼らの家に泊まりに行ったりして親交を深め、その翌2011年のEUツアーで、チェロ奏者で絵描きのかれは、ぼくのためにかれのアトリエでの演奏会を企ててくれた。一緒にアトリエを掃除して、演奏会には多くの人が訪れてくれた。
その後かれはそのシリーズ Atelier de L'Etoile を続け、今ではあちらこちらから演奏の申し出があり多くのコンサートを催している。


ちなみにエステラもアーティストで、2011年の夜の森でのアートフェスティバル「into the forest」にインスタレーション出展し、そこに演奏で参加した。


そうして、ブザンソンの彼らの家に3回目の滞在をし、油絵の具の匂いのしみ込んだ部屋でアトリエコンサートが催された。
マルガリータによる朗読のあとにソロ演奏を開始。
ここまでチューリヒもベルンもソロはなかったので、これからが本題というところ。最近国内ツアーで模索確認していたことをヨーロッパでも実践すること。そしてどうかれらが感じるか。


昨年新曲が6曲が立て続けに生まれた。ぼくのスタジオでもある裏山などでソプラニーノを組み立てて息を吹き込むと、それらの音はそのまま曲になった。音を出せば曲になるので6曲で打ち止めにした。それ以上増やしても覚えられないし。曲と呼んでいいのかどうかも疑問の新曲達だった。そしてそれらがなんなのかをツアーで確認しながら、更に模索を続けている。
考えてみたらこの10年の作曲はほとんどがそんな生まれ方なんだなあ。


1部はソプラニーノで新曲を中心に5曲。UZOは久しぶりだ。
1.イケ  2.UZO  3.カホ  4.ライズ  5.カミサン
少しの休憩後にソロ即興演奏。そしてセバスチャンとデュオ。
全体を通してお客さんの確かな手応えを感じることができた。セットの度の拍手とそのあとの溜め息みたいなものと沈黙が部屋に充満して、最後の演奏が終ってもしばらくだれも動かなかった。
お礼とお別れに「キホウ」を演奏した。


翌日はお客さんとして来ていたテーブル奏者(とにかくテーブルなのだ。プロミュージシャンなのだ。)の Olivier Toulemonde とセバスチャンと3人でセッション。
こうして有意義で楽しい時間を過ごしたブザンソン5日間の滞在を終えた。