salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー (スイス)

(5/21-24)


5月21日朝4時半に起きて5時40分別府発バスで福岡空港へ。当然寝不足状態でソウル経由アムス経由で26時間程?かけて夜10時過ぎにスイスのチューリヒに着いた。Nさんたちが出迎えてくれて助かった。
チューリヒに2泊後、シグナルトリオでベルンとローザンヌ公演に向かう予定だったのが、前日になってベルンは泊まれないのでチューリヒに戻ることになるし、すると今度は翌日のローザンヌ公演が警察により中止になるし、結局スイスは4日間ずっとチューリヒ滞在となった。
またこの季節でこんなに寒いのは30年ぶりとのことで、みんな驚いていた。


到着翌日に、紹介された Jean-Jacques Pedretti (トロンボーン)と Bonaventure (ンベラ)とセッションをした。いつもと違う軽い感じの演奏ではあるが、かれらの開放感は気持ちよい。形式上の開放感でなく、心がそうなのである。なにかにしがみついてのそれではないので、こちらも心地よく即興演奏ができた。
音楽観や人生観まで理解し合えたことは嬉しい。


さて、初の首都ベルンへ。ヨーロッパではいつも会場に驚かされることが多いが、ここ Dampfzentrale も大きなコンサート会場であるだけでなく、そのエントランスを会場にしてしまっているという奇抜さだ。ちゃんとバーも併設されている。
シグナルトリオは正式名ではない。2006年、スイスのミュージシャン5名がジャパンツアーをした時、山口Yカム公演にジェイソン・カーンとギュンター・ミュラーから参加を要請され、その際にレコーディングも行ったのだが、その中で突然初対面の若手2人(Tomas Korber & Christian Weber)とのセットが組まれた。それが「Signal To Noise」6枚シリーズのvol.2としてリリースされ、ヨーロッパではもっとも評判だったらしい。(ちなみにvol.4はその時の6名での収録分。)
そんなことからなんとなくシグナルトリオと呼んでいるわけだ。
ジャパンツアー翌年にかれら5名と再度チューリヒで2日間コンサートを開催後、トリオの付き合いが続き、2度スイスツアーをしたり、フランスのフェスに参加したりした。
知的だけど熱いエレクトロニクスのトマスと、抜群のテクニックとユーモアを持ったアコースティックベースのクリスチャンとサルモサックスの組み合わせは、楽器的にも個性的にも最高だ。ベルンコンサートも十分納得いく楽しいものになった。


話は前後するが、ベルンに出発する前にNさんの設計事務所を訪れている時に、クリスチャンからNさんに電話でローザンヌキャンセルが知らされ、その場で翌日の Harappa Office コンサートが決まってベルンに出発という、ギリギリでなにか因縁の出来事が起きたのだった。
ライブ@Harappa は前日決まったばかりというのにも関わらず、20名を超える人々が来てくれ、またシグナルトリオも演奏することができ、それはめでたいことではあった。
演奏は3人が絶妙に絡み合い抜け出し無視し結びつきして静かに熱く時間が進んで行き終了した。
お客さんは普通の人が大半を占めるのに、いわゆる抽象的音楽に耳を傾け楽しんでいるこの時間と空間はとても大切なものに思えた。
こうしてスイス(チューリヒ)滞在は終った。