salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー(ベルリン)2

(6/19-20)


いよいよ演奏当日、きょうも暑い。残り2日をアレンジしてくれた森本さん宅に泊まるべく移動。
メトロ駅で待ち合わせ、彼のアパートで一息。夕方メトロで会場へ向かう。


Ackerstadpalast は主にダンスなどの催しに使われてきた場所らしく、広いスペースや照明も確保されていて、階段状に客席が4列並ぶ。その席が埋まる程度のお客さんが来てくれた。
その中にはピットインで共演したこともある千野秀一さんや、バーバー冨士で共演したアレッサンドロ・ボセッティの顔も。


最初にダンサーのソロパフォーマンス。
ベーシストのマイクは、いつもと違うソロをするんだと言っていたが、シンプルで空間的でなかなか良かった。今後を見てみたい。
そして最後。40分程のサックスソロ。
劇場系の広くて照明のよく効く、響きも良い環境で、気持ちよく演奏できた。


いつもは、ヨーロッパツアー中コンサート会場でもそれ以外でもよく日本人に出会う。なのに今回はほとんどまったく会わず、本当に不思議なことだった。ここに来てやっと数人の日本人に会った。




翌日、いよいよ最後の日最後の公演。
いつも立ち寄る寿司の「ささや」で昼食をとり、サックス専門店に立ち寄った。そして会場入りの前にカリーヴァルスト(ソーセージ)を食す。これで思い残すことなし。


本日の会場 sowieso を立ち上げて5年というマークは、本当に頑固な音楽好きで、即興を中心にコンサートを週4回以上やっているそうだ。どんなヤツが来るのかと思っていただろうが、自分の音楽観などを話したりしたのは伝わったようだ。開場直前に椅子を増やして並べ出した。

お客さんには、5年ぶりになるフランチェスコが。ボローニャで知り合ったかれがベルリンで開いてくれたコンサートで森本さんに出会ったし、それが縁でかれらの関係も続いていた。
それにピアニストの下村美佐ちゃん。京都で出会い、のちスイスのレジデンスで数日リハーサルしたりした仲だ。帰国後ベルリンに移住して森本さんと友人になっているとは知らなかった。
アナスは母親と彼女を連れて現れ、そして千野さんは昨日に続いてきょうも来てくれ、真ん前の席に陣取った。


連日猛暑のベルリンだったが、この演奏会の時間だけ凄まじい雷を伴った雨が降り、コンサートに水を添えた。
先ずはサックスソロから。アルトの「hi,」で耳と頭を振るわせてほぐし、今回のテーマであるソプラニーノ曲集を。そして再び「カミサン」で耳と頭と脳をぐちゃぐちゃに。〆には久しぶりに「サルモ」を簡潔に。ヨーロッパツアー1ヶ月を締めくくるのに満足できる出来だったと思う。思い残す事なし。


休憩後に森本さんとのデュオ。かれの考え方や音楽観はぼくと通じるものがある。かれはいわゆるエレクトロニクス奏者だが、その音はアコースティックの感覚に近いシステムで、机の振動をも取り込んだ繊細な音を出す。サックスの音の振動がかれの机に伝わり、2人のどちらの音なのかわからない場面もあった。予定時間通りに美しく静かに演奏は終った。
そしてお礼とお別れに「キホウ」を演奏した。


マークも満足したらしく、ニコニコして打ち上げにワインやラムを出してくれる。かれに美佐ちゃんを紹介すると、じゃあピアノを弾けと言い出す。実は演奏会2部が始まる時に、かれから10時45分に終るように宣告されていたのだ。もう12時をとうに過ぎているのに、いったいなんなんだ。その上に今度は千野さんも加わり連弾を始めた。そうきたら自分も参加しない手はない。苦情が来ても知らないぞ。おかげでかれらと久しぶりに共演することができた。
そんなこんなで打ち上げは2時半まで続いた。明日は、イヤ今日は帰国の途につく、、。


ところがこれで終わりではなかった。「ウチアゲ」の国、ニッポン。日本人ばかり男5人でケバブ店に。そこには千野さんの姿も。4時になって店が明かりを落とさなかったらどうなっていたか。
今日は帰国の途につく、、。イヤ、もう数時間後帰国の途につく。
ヨーロッパ最後の夜にふさわしいこの「時間」を、みんなに感謝。