salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 東北見聞録

東北を楽しんだ。
楽しめた理由のひとつは、盛岡、仙台、山形で計4回演奏できたから。
昨年は諸事情で盛岡と福島だけだったのでちょっと寂しかった。
今は音楽以外で旅行をする身分ではないので、演奏が少ないことは気が重い。




さて、別の楽しめた理由、内容を、、。


盛岡のみんなは良くしてくれ、5泊の間、温泉やカフェなどに連れていってくれた。
国見温泉は緑のお湯だ! ホントに抹茶の色。 感激! 
山の奥にあり、冬は雪のために閉鎖されるようだ。ここらが九州とは根本的に違う。
東北の温泉の建物はずっしりした、素朴なものが多い気がする。
鉛温泉は去年泊まった大沢温泉の近くにあり、立って入浴するので有名。でも階段で降りていって、更に深い湯船に入るのは息苦しかった。
湯上がりは花巻のデパートの正統的食堂でハトの飛ぶ中ソフトクリームでしめた。


演奏の方は、盛岡のヘビーなミュージシャンのみなさんで盛り上がった。
ここは基本自前、つまり地元民でコンサートが成り立つ。
他の土地は、けっこう移民が多いと思うのだがどうだろう。
ぼくが名付け親の「あとまり」は進歩していたし、かれらとの共演もスリリングだった。
この日ぼくはソロの他、デュオ、トリオで演奏。
翌日の HOT POT は焼きサンドイッチなどをごちそうになりながら、salmo pop のテストも兼ねて気楽に演奏。
何人か歌やサックスやアイポッドで演奏披露してくれた。
盛岡最後の夜、ある宴に連れていってくれ、そこでサックスを演奏。
するとアイヌ音楽をしている夫婦の声とギター、それに和太鼓も入ってきて、大変な世界になった。
異様な、舞い上がったその空間で、踊る人も現れた。


翌日仙台の会場でクラゲさんと落ち合う。初対面。
かれの企画した "ZOMBIE FOREVER PRESENTS" の仙台と山形公演に便乗させてくれた。
かれは即興もするらしいが、今回は弾き語り。他にアメリカ人たち3人のソロシンガー。
こんなにひねりのないストレートなシンガーたちのコンサートは初めてだったので、そこで即興なんていいのかな、とちょっと思ったり、またそのゆるさなど、いい経験になった。
そんなことに驚く自分がイレギュラーなのかな。


仙台から山形へのJR仙山線は楽しい。今まで何回も往復しているが、気になっていた面白山高原駅で途中下車した。
案の定とても気分のいい山の中の駅で、峡谷も見下ろせる。ここで何本か電車をやり過ごしてボーっと過ごす。


山形の会場でみんなと合流。そこはなんと2回演奏したことのある、蔵オビハチだ。
演奏後色々話したが、苦労していることは一緒だ。


演奏はすべて終わり、翌日ひとりで野川源流へ1泊釣行。
2、3時間釣り上り、乾いた砂の台地にビバーク。なんて気持ちいいんだろ。
手頃な大きさの焚火で、イワナ1尾を塩焼き。なんておいしいんだろ。
ほどほどの釣果、黄金色に輝くイワナ、清冽な流れ、山の気配。年に1度の贅沢。
翌日は禁漁前最後の土曜日で釣人が多く、あまり釣りができなかった。でもOK。
引き揚げよう。


1日早く切り上げて山形市に戻り、夜は2日とも蔵王温泉へ。
以前、月山スキー登山の帰りに蔵王を滑って、その折に入浴して以来だ。
市内からすぐのところにこんな温泉街があるなんて、山形もあなどれない。
3つある公共温泉は完全掛け流しで埋める水道がない! で熱かった、その日は。
もう1つ入った露天は薄い青白で、ぬるめのお湯にまったりした。


最後の日に、いつも仙山線の車中から見ていた「山寺の和尚さん」で有名な山寺に行くことにした。
松尾芭蕉の「閑さや岩にしみ入蝉の声」もここ。
1000段を超える階段を、釣りの後の疲れの割に息が切れず登れた。
凝灰岩の山の岩肌にある大小無数の穴に仏像もあれば建物もある。
天台宗というから密教系の修行場か。
けっこう気に入った。人が少なければもっといい。
むかしむかし、仏教以前神道以前にこの山の洞窟に人々は住んでいた、、、と勝手に想像した。
住居跡がその後神聖な場所になることがあるようだ。沖縄の久高島の例ではそうらしいのだが、一般的にどうなんだろう。


ところで山形はラーメン消費量全国一らしい。
普段は豚骨しか食べないけど、今回は山形だけでなく盛岡や仙台でもラーメンを食したが、概してうまかった。
東北はラーメンランドか。




9月の10日間の旅は、
10:40/山形駅〜仙台駅〜仙台空港福岡空港博多駅大分駅/21:00 
で終った。