salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 浴湯人

フタリレーベル新譜「浴湯人」("Yokutojin" ftarri-994 12月9日発売)については何回か触れてきたけれど、ここでキチンと紹介しよう。
http://www.ftarri.com/ftarrilabel/994/index-j.html


中村としまるさんとは何回か面識や対バンもあるし、東京でシリーズでやっていたぼくの「サルモライズ」にゲスト出演していただいたこともある。
(第1回/ソロ(ゲストなし)、第2回/入間川正美(チェロ)、第3回/神田晋一郎 (ピアノ)、第4回/中村としまる)
日本でもっとも先鋭的なミュージシャンの一人であり、特に海外で評価の高い人だ。その佇まいは一見普通のオヤジもどきなのだが、芯が通っており、繊細で、物事を見通す眼を持っている。
正直、ぼくが共演するのに、気を抜けない緊張感を感じる、世界でも数少ないひとりだ。
ノーインプット・ミキシングボードを使い演奏する。色々コードを使って様々な音を入力してミックスするための機器に何も入れない、、、そんな発想者なのだ。


別府のレコード店 RentRec. 店長の日名子さんと話していて、かれが乗り気になって別府公演が実現した。(2012/4/7)
3日間としまるさんと一緒にいて、かれの鋭く柔らかい感性に触れた。
当日大型PAスピーカーが準備されてなかったのを、あるのならもし使わなくとも最善の準備をしたい、というかれの音楽家として当然の要求で急遽持って来て、周囲に問題を起こしかねない音量も可能になった。


以前のかれの演奏とは違っていたし、会場に流れ込むアーケード通りの音楽も影響しただろうが、案外、別府の足元からくる温泉のパワーが演奏を熱くしたのかもしれない。
演奏は1部2部とも予定きっかりの30分で終了。
1部は静かめだったが、2部は十分に低音のきく大きめの音量となった。ぼくも普段使わないマイクで対応した。もちろん全編大音量ではなく、静けさや間もあるメリハリのあるドラマが繰り広げられた。


そのパワー故か、トントン拍子にそのCD化が実現したのだった。