salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 金 沢

富山で列車を乗り継いだ時には夜になっていて、車窓を楽しめないまま金沢に着き、バスで目的地の会場でもある町家へ到着。そこに4泊お世話になる。
町家というと細長いイメージだが、ここのは大きな蔵が大きな家にくっついたおもしろい造りになっている。
昨年初めて金沢で演奏することができたが、その時お客さんだった中嶋さんがその蔵で主催してくれることになった。


近くには犀川が流れ、ちょうど桜の見頃になっていた。橋から上流彼方には白山が望める。真っ白いその山は柔らかくたおやかで、「しらやま」と呼ばれていたいにしえが偲ばれる。標高は立山より300mも低いのに、その白さは立山以上で純白と言えるだろう。立山の降雪量は恐ろしく年間100mとも聞くが、その険しさ故かこの時期には岩肌をのぞかせている。麓の市街地から見える山の白さでは白山は日本トップクラスだろう。
越中八尾のおわら「風の盆」で子供達が唄っていた中の霊山は、富士山、立山、白山だったと記憶する。


白山にもスキー登山をしたことがあるが、ガスで山頂部は視界がなかったし、体調を崩してしまって立つこともままならず、食べるものも食べず、転び続けながら下山した苦い思い出がある。
記録を見ると、1982. 4/30にソフトボールのナイター試合を消化して翌5/1飛行機で松山から大阪へ。列車移動後山麓の駅で野宿し、5/2入山。5/3登頂後、夜には神戸でフェリーに乗船。5/4大分の実家へ。5/5福岡の兄宅。夜小倉発フェリー乗船。5/6松山に朝帰りして出勤。と、信じがたい行程をしている。
白山の美しさを見るともう一度チャレンジしたい気持ちになった、、、。


蔵からは金沢市の繁華街や21C美術館も近い。街中にはせせらぎとは言えない急流の水路が巡らされ、武家屋敷もあればマルキュウもある。散策を楽しんだり、みんなで蔵を掃除したりして演奏会当日を迎えた。
陶芸家の中嶋さんはぼくの演奏にインスパイアされて、一抱えもある円盤状の説得力のある陶器を制作し、初めての演奏会企画を一生懸命してくれた。立ち見が出るほどのお客さんの大半は女性で、出張カフェの食べ物や飲み物も並んで大盛況だった。
出演は、去年お世話になった asuna さん。その時もごいっしょしたバイオリンの島田英明さん。地元で活躍のギターの石川征樹さん、4人それぞれのソロという豪華版で、楽しく濃密な夜だった。


金沢のイメージは前から良かったが、これで更に良くなった。次回は銭湯に行こう。
そしてできれば野猿カモシカの待つ白山の渓谷にも。