salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 「祝子」(houri) 解説〜3

( 曲解説続き )


07. who? / だれ? 
前述のサックスワークショップ時代に可能性を探ったもののひとつ。各自任意のフレーズを繰り返し、ある(秘密の)合図で瞬時にチェンジする集団即興のオートマチック化と偶然性を狙った曲。いくつかのルールを伴ったシステム的で情感を排する曲ながら、豊かで高揚した音楽が出現する。ただし、演奏は難しい。ここでは 3/4拍子 で演奏した。録音した音を聴きながら演奏するわけなので半同時進行なのだが、それなりの面白みが出て良かった。
( '96. as, as, br ) 3/4拍子




08. kitamyu / キタンユ 
北海道ニセコアンヌプリ・スキー登山で五色温泉の山小屋に滞在時に作曲し、楽譜を壁一杯にマジックで書いてきた。連日の降雪でほとんど外にも出ず、露天温泉に浸かりっきりで天国だった。なにしろ簡易テントか雪洞を掘って寝袋で寝るのが常だったから、屋根付きストーブ付き温泉付きだなんて ! 登頂は断念しスキー場を1回滑って帰った。このリベンジ登山時の姉妹曲「キタンヨ」( '02 1/1 )がある。
AABA の形式だがここでは AAB に変えた。
( '97 12/28. as, as ) 4/4拍子




09. kiteri / キテリ 
長い間年末年始は山で一人過ごしてきたが、少し音楽的に年を迎えようと思い、近辺の温泉宿を点々と泊まり作曲した。西暦2000年を記念する曲も欲しかった。 オリジナルはバリトン2本でメロディを。アルト、テナーがリズムを担当し、CDとは逆の構成だった。
( '00 1/3. as, as, br, br, br) 5/4拍子




10. chikushi / チクシ 
ぼくの知人の友人の夢枕に現れたという「筑紫の君」の古墳を、その友人の命日( 11/11 )に参った。知人の要望で sn を持参していて、その場で閃いて演奏したのがこの曲。CD「Patiruma」にも収録しているが、その録音日が 11/11 だと知人に後日言われて知った。sn 用の曲で、4つの音(経過音を含めて5つ)だけで出来ているのを、あるミュージシャンに指摘されて驚いた。さて、何拍子だろ、無拍子かな。
( '05 11/11. sn, sn )




11. far east / ファーイースト(極東) 
前年に引き続き音楽家的に年を迎えようと思い、宮崎の日向に滞在した。大晦日の夜、神武天皇が東征のために船出をした言い伝えのある港に近い都農神社で焚火にあたっていると、女声の「越天楽」が聴こえてきた。それにインスパイアされ、宿に帰りその変奏曲を書いた。福岡黒田藩でその変奏曲「黒田節」が生まれたように。21世紀元日に曲ができて嬉しかった。みんなでワイワイ演奏するイメージの曲。
形式 AAB の曲。
( '01 1/1. sn, as, as, br, br, br, br ) 3/4拍子




12. impressions of ams. / アムスの印象 
脱サラして、人生初めての渡欧の地をアムステルダムに選んだ。ほとんど知り合いのいない地に1ヶ月滞在。ある楽器店でC管のソプラノサックスを見てしまった。
一目惚れし、翌日に購入していた。サテンのシルバーメッキは柔らかで、その音も優しかった。公園で池を前にベンチに座り、孤独感と、ほのぼのした気持ちと、そんな心境で吹いていてできた曲。
( '03 5/8. c-ss, sn, as, as, br ) 4/4拍子




米 ( )内は 作曲年月日と 楽器編成 : sn/ソプラニーノ、c-ss/C調ソプラノ、as/アルト、br/バリトン


( 続く )