salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 台湾4(台東)

6/16 台中に2泊の予定だったが宿泊場所が曖昧だったのと、東岸の台東に興味があったので、急遽1泊で切り上げて台東に3泊することにした。
台湾は都市も交通網も西側に集中しており、東側は自然豊かなワンダーランドだったのだ。
Fangyi と2人で皆に別れを告げ、トラムでバスセンターへ。そして長距離バスで南下して台南も飛び越え高雄駅へ。そこに住む彼と別れてひとり列車で台東を目指す。さすがに便も少なく、スピードも遅く、夜の到着になった。
非常食にどら焼きを買って訳わからずタクシーに乗り、行き先の住所を見せるとブンブン飛ばす飛ばす。えらい遠いのでアヤシイ、と思いきや停車し、降りてここで待てという。途中電話していたのは、会場の人に迎えに来いと言っていたようだ。いいオヤジだった。それにしても車内で電話番号まで検索して、、、時代は変わった。


まるで状況は飲み込めないけども、街らしい所も通ったし、暗闇の中に提灯がずっと遠くまで並んでいる風情に安堵してきた。駅の中も外も暗くて不安は募っていたし、山奥のジャングルで店もなにもないのでは、と恐れてどら焼きを買ったくらいだった。
あとで分かってきたのだけど、10年程前までここに駅があって、その跡地に公園が造られその一角に音楽を中心に盛り上げるべく若者が集まって「鐵花村」を運営している、ということのようだ。だからもはや列車のやってこない旧駅の正面に普通に街が広がっていて、不思議な光景が現出している。
と、迎えの女性が来てくれた。すぐの所に会場はあり、ウェルカムビールでみんなと乾杯。
ところで泊まるのはホテルらしい。で、話の行き違いで1泊しか提供されないという。でもホテルの好意であとの2泊は格安にしてくれた。エアコン付き個室。
6/11の博多から昨夜まで毎日移動と演奏だったので疲れた。


翌朝起きて突然身体の痛みを覚えた。筋を痛めてしまったようだ。ツアーはいつも綱渡りだけど、ついに落ちてしまった。この日以降5日間、台東、高雄、台南で治療を受けることに。幸い歩いて旅を続けることはできたが、最後まで観光気分には少々ブレーキがかかった。台湾が楽しかっただけにはしゃぎすぎないよう、それでちょうど良かったのかもしれないし、貴重な経験もできた。


そうして2日間は病院にけっこう時間を費やした。若い Z がスクーターで病院に連れていってくれたり助けてくれた。それでもなんとか市場に行ったり、名物を求めてお店や食堂を訪ねたりして楽しむことはできた。不思議な老人がヨタヨタと歩く姿が台東の街に見られた。


6/18 台東鐵花村公演。この日はセッションをするという。誰が来るのかも状況も理解できなかったが、特定のメンバーでない本当のセッションだとやっと分かってきた。
最初にぼくのソロ、そしてセッション突入。ドラムやベースやギターにピアノが集合してきた。サックスも2人。内容はエイトビートなどを基調としたアドリブ大会。ぼくは様子を窺いながら時折なだれ込んでは去る繰り返しをした。
もちろんぼくのサルモワールドとは異にする音楽だけど、オープンで明るく激しいこんな時間もいい。めったにしない演奏だけど、これはこれで燃えるのだ。マルセイユでのセッションを思い出した。
セッションが終わったところで最後にソロで「キホウ」をプレゼントした。
広い敷地のオープンスペースの鐵花村には、観光客とか一般的な人たちも多かった。そしてクアラルンプールから来ていた学生たちや色んな人たちが感激して詰めかけてくれたのだった。