salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 インタビュー5

【共演した音楽家/シーンについて】


Q1. 多くの音楽家と共演をされていますね。これまで共演を通じて特に印象深い音楽家や出来事を教えていただけますか?


私は他のミュージシャンや共演についてあまり話しません。誤解があっても困りますし、なにより自分のことで精一杯ですから。その共演の中で自分がどう演奏できたかの方に興味があります。
でも少しだけ言えば、中谷達也とはいつもエキサイトします。また「signal to noise vol.2 & 4」でも共演している、Tomas Korber (エレクトロニクス) と Christian Weber (ウッドベース) とのトリオは相性抜群で、いつも素晴らしい音体験ができます。
故高木元輝は最近になって、よりその音の良さを再確認してます。かれは生きるのがへた、というか、、、人のことは言えない!? また故ジョー水城の音の柔らかさは驚きでした。大分に招聘する計画中に他界されました。




Q2. 山内さんが共感する音楽/音楽家は?


なによりも音質が一番だと思っているので、好きな音楽や音楽家など形を特定したくないのですが、ルネッサンス音楽は好きです。あのフォームは自分を解放するのにいいようです。
逆説的ですが、私は共感する音楽、音楽家、人と出会うために演奏しているのかもしれません。そのためにも、もっともっと自分の感覚を解放していきたいです。




Q3. 山内さんが演奏活動を始められてから現在に至るまで即興音楽シーンがあるとすれば、それはどのように変化していますか?また、山内さんは現在の即興音楽界に対しどのように感じられていますか?


母国を離れた人々によって、異国に純粋な伝統が残っている例があります。自分についてもそんな感じを持ちます。70年代に即興の洗礼を受け、以後そのシーンのない大分に住み、中央の情報もない中で生きてきましたから。
脱サラをして、音響的即興を知り驚きました。でもやっていることは理解できましたし対応もできました。でもそれ以外の即興はあまり変化してない気がします。
また、即興にはインスタントの意味もありますが、そこには落とし穴があるように思います。今の時代を反映しているとも言えますが、危険です。脱インスタントの時代が来るような気がします(インスタントの否定ではない)。




Q4. 山内さんは熱心なリスナーですか?好んで聴かれる音楽を教えてください。


すみません、まったく熱心ではありません。いつも車でFMを聴いてます。




Q5. 好きな音/嫌いな音はありますか?


「音質」について話してきた通りです。表面上のあんな音こんな音ではない、音の中にある質。言い換えると人の身体に入る音が好きです。人まで届かない音は論外です。音は耳ではなく身体で聴くのです。そのことを「細胞レベルのコミュニケーション」と言っています。
私自身、それがまだまだ未熟なので、その分将来が楽しみです。




【今後の活動について】


Q. リリース予定の作品などありましたら教えてください。


近々にはありません。そろそろ次の作品を出したいのですが。
昨年ポルトガルでレコーディングしたのですが、まだリリースに至らないようです。
映画作りも始めはしたのですがどうなるでしょう。なんであれ思いついたことは、実行していきたいと思います。




【新潟について】


Q. 新潟に対して思っていたことはありますか?フリー・ジャズ間章さんの名前を挙げられていましたが・・


新潟市は、飯豊や胎内方面に渓流釣りで行った際などに何度か訪問したことがあります。漠然とですが、印象のいい街です。新潟県ということならば、山スキー糸魚川方面は数多く行きました。湯沢にも一度。
全体には北の雪国のイメージがありますが、じっくり滞在したことはないので曖昧です。山の奥が多かったですから。
間氏については後日、ああ、新潟だったのか、と感慨深かったです。


(以上敬称略、2011年3月 藤井友行氏インタビュー)