salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 インタビュー4

【環境・空間について】


Q1. 山内さんの音楽は演奏する「環境」や「空間」とどのような関わり方をしていますか?


音(=エネルギー)で空間を満たす感じ、これは前述した音質の意味でもあります。
その空間の形や広さや材質でも音は変わるのですが、そのレベルではないところの音の聴こえ方、感じ方が重要です。そのためには空間を意識するより、自分の中を観て感じることで得られる結果(音のパワー、音質)が大事だと思います。
環境については、コミュニケーションとして捉えられるかもしれません。環境とは有形無形のモノであり、それをやはり感じられることが重要だと思います。感じることはその環境につながることで、それは片道通行でなく相互であり、コミュニケーションと言えるでしょう。
私自身は環境や空間を「意識」しません。




Q2. これまで演奏した場所の中で特に記憶に残っているところは? その理由は?


単に特殊な場所であれば覚えてます。水の中とか! 
あとはヨーロッパのお城やトンネル状の会場や広大な広場での演奏など。残響の長い場所はやはり気持ちいいです。北海道モエレのガラスのピラミッドとか。でもその時のお客さんの要素も大きいです。




Q3. 「こんな環境で演奏してみたい」という場所はありますか?


自然の中で気持ちのいい所は多いです。鍾乳洞はおもしろそうですね。あとは廃墟みたいな所。




Q4. 山内さんはよく山スキー登山をされると知りました。こういう自然の中の体験は音楽制作に影響することはありますか?また、自然の中で感じたこと/出来事や、山内さんの感じる山スキーの魅力についてもお訊きできればうれしく思います。


「自然について総論的に」
抽象的なことで言えば、自然という非日常性によって感性が敏感になることによって。また具象的なことで言えば、そこで聞いた音の体験と記憶によって、自然での経験は当然音楽に反映されているはずですが、これもあまり意識しません。
自然の中で嬉しいとか気持ちいい時は自分と外界がうまくつながっていて、そんな経験が質的量的に多いといいのだと思います。


山スキーや渓流釣りについて各論的に」
そこに通常のルートはなく、五感と知識と技術と身体を使ったルートファインディングによって危険を避けて進み、思いもかけない光景に感動し、冒険心や好奇心や衝動を満たす喜びが得られる。
ひとり雪山のピークに立ち、スキーで滑り降りる快感と達成感。心躍る妖しい渓の流れから眩い渓魚を引き出し、生命に満ちた自然を体感する。
そうして、自然とのより近い関わり=一体感=リアル感を得たいのだと思います。


「結論的に」
自然は人類にとってふるさと(原点、基本)で、向かうべき所は人間だと思うのです。あらゆるものとのコミュニケーションの中でもっとも重要なのは人で、だから今は音楽と演奏会形式とを選んでいます