salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 西野流呼吸法とサルモサックス

今まであまり語らなかったが、実はぼくは西野流呼吸法を20年以上やっていて、2012年からは大分で西野流呼吸法 大分県塾生交友会を運営している。
http://salmo.hatenablog.com


西野流呼吸法は、気によって細胞レベルからパワーアップするというもので、およそ人間の動きに関するすべてにプラスし健康によい。身体のさばきも緩めることで現代人が忘れている本来の動きになっていく。もちろん楽器演奏にも大いに有効。脱サラしたことと音楽活動も呼吸法によるところが大きい。

もうひとつ重要なのは、あくまでも身体だけを対象にしていること。つまり「身体=物質物体=3次元=現実=今」を大事にし、霊的宗教的なことには触れず、今の自分の可能性を拡げることに主眼を置き、直感感性が磨かれる。


しかし呼吸法を続けていると世間一般からは奇跡に見えるようなことはよく起こる。また楽器の音もその音質から変化し、人の身体に浸透するような波動とパワーを生み出す。
これらのことから、呼吸法も自分の音楽表現も3次元と他次元の橋渡し(あるいは狭間)ではないかと思うようになった。
大多数の人にとって他次元のことはわからないし、わからないことが重要でもある。ならばそんな世界に気を取られ過ぎず、この世界と自分の人生に集中するべきだろう。そして橋渡しではあっても渡らずに大地にしっかり立ち、でも結果としての奇跡的恩恵はいただく態度がいいのかと思う。


ぼくの音楽や演奏は癒しを目的にしていない。自分の心(=直感感性=60兆の細胞=身体)の声に耳を傾けて素直に音を出すと呼吸法で培ったパワーに音が乗る。それが何かを壊したり疑問を呈することを含めて、人を元気付けるような音楽になればいい。それを癒しに感じてくれるのなら嬉しい。


そんなことを考えながら音楽活動を続けている。

 サガイン台湾ツアー

初めての1人ではない演奏ツアーだった。


山崎昭典とは数年来奈良、京都、大分で即興演奏の対バンや共演を重ねてきた。
1年半大分で活動したサガインのギターが抜けて半年ほどのちの昨年11月、京丹後でかれに演奏と映画上映を企画してもらった際、なんとなくサガインのギターをやってもらう流れになった。天の采配を感じた。
それから楽譜を送り、大分でリハとライブをする調整を始めたが、どうせならいきなり海外公演をしたいと台湾ツアーを提案。スムーズに事は進み、2日間の練習と5月6〜15日の大分・台湾ツアーが実現した。
台湾は3度目だったが諸事情で旧知の所での開催は2カ所だけで、新たに探しまわりなんとか6カ所が決まった。(+大分2公演=全10日間8公演)


脱サラして16年。1人がむしゃらに動いて演奏してきて今起きている変化、、、バンド演奏もそうだし人とツアーをすること自体初めてで、正直不安もあった。でもそもそも相性がいいからこその流れだし、天の采配は見事で何の問題もなかった。
彼はクラシックギターの先生だけでなく、即興演奏や現代アート・音楽の理解者・演奏者であり、コンテンポラリーダンスなどの音楽制作者であり、ぼくと音楽観・宇宙観なども共有でき、サガインメンバーにうってつけだった。
その一見ジャズ風のサガインには40年以上探り拡げてきた要素がつまっていて、ぼくのサルモワールドの一部であり探検・冒険なのだ。


格安航空券、格安宿、長距離バスと楽しく2人旅は続き、各地で地元料理を食し、人々と出会い交流した。もちろんサガインの音楽は迎えられた。
彼は初の台湾の上ハードスケジュールだったようだが、音楽活動はサバイバルなのだ。それは「音(楽)の探求」を選択してしまったからなんだけど。
(敬称略)


*大分と京丹後の遠距離バンドもまたよきかな


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サガイン
・山内 桂(曲・サックス)
・山崎昭典(ギター)
・米増博俊(ベース)*大分公演のみ


5/06 大分公演
5/07 台北公演
5/08 (台北・オフ)
5/09 台中公演
5/10 高雄公演
5/11 高雄公演
5/12 台南公演
5/13 新竹公演
5/14 (台北・オフ)
5/15 大分公演

 わからない

「わからない」
最近分かってきたのは宇宙のことはわからないということ。それは答えはない、あるいは答えに意味はなく、その答えを求める「行為」が大事ということ。


ぼくは40年以上即興演奏を中心に形のない音楽で答えを探してきた。そうして最近割と形のある音楽もやっていて、そのひとつがサガイン。
音の探求ということでは同じことを続けているのだけど、人に対する優しさの表現をひとつ増やした感じで、オリジナル曲をバンド形式で、より素直に演奏したいと思っている。もちろんそうしたら得という計算ではない。自分がやっとここまで来たということでもあるし、「サルモワールド」の広がりの結果でもある。そして多分「わかりやすい」音楽でもある。


そんなサガインの音楽でも「わからない」人はいる。いわく、いろんなパターンや速さやの曲を増やしジャズスタンダードも入れたらいいと。でもそうすれば多分更に2、3曲要求するだろう。そして次にはみんなの知ってる曲を要求するだろう。際限はない。つまり出来事を判じたいだけで、音は聴いてないのでは? 音を感じることを忘れているのでは?
「わかる」ってなに?


音に誠実でありたいと、正直に音を出すことに努めてきた。そして自分にしか経験できないことの積み重ねで今の音楽があり、それは自分にも人にも宝なのかもしれない。そんなことを音から感じて欲しい。


そうでない人たちのことは、考えなくていい、のかな。

 サガイン と フルフル

オリジナル曲をシンプルに謳う「サガイン」  
      〜静かに深く、そして躍動する音たち〜


山内/作曲・サックス
山崎昭典/ギター
米増博俊/ベース(台湾には同行せず)


この度1年半の活動を経てギタリストが変わり、ニューサガインが始動する。以前より交流のある京丹後在住の山崎昭典。
https://zakky51.exblog.jp
去年関西ツアーの折にかれと徒然に話をしていてこんな流れになった。技術やセンスはいうまでもなく、なによりリスペクトしあえることが大きい。
最近よく思うリスペクト。本来は他人だけでなく自分にも向けるべきもので、更には生き物すべて、そしてモノに対してもあるべきものだろう。つまり地球や宇宙そのものを大事に思い尊重し感謝する心とも言えるだろう。
現在2枚目のCD制作中のかれは、ギター教師のかたわら演劇やダンスの音楽制作、あるいは共演を続け、また自己のユニット活動や即興演奏やクラシック演奏を行なっている。


5/6、ニューサガイン公演第一弾の大分のブリックブロック翌日から、なんといきなり海外へ。1週間の台湾ツアー(台北、新竹、台中、台南、高雄)を挙行する。更に帰国日5/15に再び大分の三重町にあるエイトピアで締めの公演。
実はプロミュージシャンとバンドを組むのはこれが初めてで、その意味でも新たな一歩になる。それとこの15年、即興演奏を主体に一人で動いてきたのだけど、このツアーは人と一緒に旅をするというとんでもないことになるのだ。少々緊張する、かも。
https://www.facebook.com/events/164367820903044/?active_tab=discussion



もうひとつ新たな動き。
やはり交流のあった岩下清香は東芝EMIからデビューしている歌手だけど、成り行きでフルフルというユニットを組むことになり、5/19大分オノヨーガシの5周年イベント出演、翌5/20大分市アトホール公演を行う。
やはりリスペクト仲間の彼女はCDはもちろん、多くのレコーディングに参加、また数々のCMにも出演していて、最近は歌だけでなくピアノやウクレレなどにも手を出し、他にも訳のわからない色んなことにも手を出し、ユニークな活動を展開している。
このバンドのポイントはぼくをリーダーにして、それにより彼女の違う魅力を探ることも目論見で興味がわく。


こうしてこの5月に2つのユニットが期せずして始動することになった。
問題は、彼女は鹿児島在住であること。つまりサガインもフルフルも大分での活動は困難だということ。でもなるようになるこの世界、楽しいに違いない。

 東南アジア最終章/サイゴン

salmosax2018-04-10

3.9. フエ空港から最後の訪問地サイゴンへ。
体調はかなり良くなっていた。飛行機が高度を上げ巡航状態になった時、異変が起きた。急に肩が重くなり次に鈍痛が始まった。更に全身が火照り気分も悪化。初めての経験で、どうしたのかもどうすればいいのかも分からずトイレに飛び込んだ。するとなぜか数分で身体が落ち着いてきた。
最初本気で何かが肩に取り憑いたと思ったものだが、本当に暑汗冷汗脂汗が多い旅だ。
その後はスムーズでもなく語る程の事もなく会場のサロンサイゴンに到着。昨年もお世話になったとても素敵なアートスペース。フランス風二階建ての二階がギャラリーで、一階でイベントを積極的に行っている。サンドリンとスタッフ達は準備を気持ち良くやってくれる。何事もスローなお国柄なのに半年も前に開催を確約してくれ、その日程を元に今回のツアーのアレンジを進めたのだった。
当夜はハルリとフウアの上映、そしてサックスソロ。ソロの時もバックにホフネンを流したので、水の3部作ほぼ全編上映したことにもなった。
お客さん達も喜んでくれて、幸せな時間だった。


3.10. 昨年開催をしてくれた Sao La。現在拠点がないため元メンバーのカフェ ”&”(Coeverything)でのソロ演奏会になった。洒落た、アートや音楽を大切にしているお店に若い人達が集まった。
その彼らがぼくのやっていることを理解してくれたことが嬉しかった。
「人種や国境を越える」なんて簡単にいうが、人種や国境でどうしてこうも違ってしまったのか。あるいは違ってはいけないのか。またどこが同じはずなのか。そんな話を音楽を通じて、まさに人種国境を越えてしあえたのだ。
自分の音楽にフォーカスすることで人と繋がる旅をしていて、流行歌や伝統音楽や既存の音楽でなくとも、いやだからこそ既知に惑わされることなく直接に感性で交流できる喜び、を実感している。
カフェにはぼくのCDコーナーが設けられた。


3.11. いよいよツアー最後のライブ。ここまで5日連続の演奏会。確実に時間は過ぎ終わりは来る。
昨年の初訪問で助けてくれたVMRもまた拠点をなくしていた。そこで世話してくれたのが、歌手のフォンが経営するバー Yoko Cafe。
暗くなってじわじわと人が集まりけっこうな数になってきた。ハノイサイゴンのリピーターや移住していたミュージシャンの臼井さんも現れ嬉しい。
出演3組のトップで、30分に集約した演奏をした。これだけの人達が「バー」で静かに聴いてるって凄い、と思いながら演奏。終わってから人々が様々に感想を言ってくれ、CDも売れた。
自分の音が「人」に通じる手ごたえを感じ、感謝で終わった最終夜だった。

 東南アジア6/フエ

salmosax2018-04-09

宿に戻り、その敷地内に入ってきたタクシーに翌朝の空港行きを予約。約束の時間に手を振って来たタクシーに乗り込んでしばらくすると電話がかかってきて、別のタクシーに引っかかったことが分かり混乱。ボラれなかったのでよしとするが、まったく逞しいものだ。
航空会社のカウンターでフエ行きの予約便が翌日だと判明。再び混乱、がっくり。日本出国まで色々あって旅程表を間違えていた。ハノイに戻るのも宿探しも気が重いし、宿代やタクシー往復代も考えて、これも運命と高額変更料を払って機上の人となった。
フエに着くと、プリペイドカードのチャージ切れで友人のチュンに連絡できず、一時途方に暮れるが大したことじゃない。その後彼の世話で、アーティストや旅人が集う池と森に囲まれたスペース Morua に落ち着いた。


Morua滞在2日目夜、前回お世話になったハノイのレザン一行が現れて驚いた。すぐあとに、釜山で会ったタブラのナオトとダンスのソレーヌもやって来てまた驚いた。世界は狭い。
そして彼女と少し余興、、、いつもせがまれる。


3.7. そもそもベトナム訪問のきっかけを作ってくれた美術家のトゥン。昨年はかれのカフェで公演だったけど、今回はレストラン併設の広い建物が会場。美術家のオーナーが彼を見込んで貸しているらしい。貸す方も借りる方も流石だと思った。
そこに長い時間一人でいると体調がおかしくなり、夕暮れから呼吸法などして持ち直した頃、少しづつ人が集まってきた。見知った人もちらほら。
建物は広く素敵だけど南国故に扉も窓ガラスもない開放的な作りで、でも意外と響きはよく、集まったお客さん達も静かに集中して聴いてくれた。
一部のソプラニーノ、二部のアルト即興、そして最後に急遽チュンのダンスと共演。実は彼がダンサーだなんて前日まで知らなかった。前回から何かと世話してくれる彼はまもなく世界の旅に出る。子供のような自由な青年だ。
フエ公演1日目、、良い晩だった。


3.8. 最終日の公演をひかえた朝、シャワーを浴びた後急に風邪をひいた。こんな急展開は初めてで、悪寒で夕方まで布団にくるまって寝た。自分を叱咤して起き上がる。幸い少し持ち直したのもまた不思議だった。
昼から続く雨もあって、タクシーで昨年泊まっていたフンの家に移動。彼の家での半プライベートな感じの上映会。
ハルリを上映後、トーク。そしてソプラニーノで数曲演奏。若い人達は興味を持って聴いていた。
フエ最後の夜、そのままフンの家に泊まる。

 東南アジア5/ハノイ

salmosax2018-04-08

3.2. バンコクからベトナムハノイへ。この日はストレスな日。20:00の開演に対し17:40空港着予定。格安航空会社なので遅延にならないか不安だ。さしあたり前の方の席を頼んだし、飛行機はすでに待機していたし、更に離陸後最前列に自主移動したし、なるようになる。
となって、タクシーで会場のHeritage Spaceに到着。驚くような新しい高層ビルの2階で、出演者たちはすでにリハを済ませていた。
このイベントはここまで紆余曲折があり、出国後も日程や時刻が変わって告知も間に合わず、知人友人に会えなかったし、開演間際までプログラムも変わり続け、直前にぼくのソロが最初になり気持ちの準備が難しかったし、またフウアも時間切れで上映されないまま終演を迎えた。
でも主催のdomdomに関わりあえたこと、ベルリンで会ったグレゴールと共演したこと、なによりも何人かのお客さんが喜びの声をかけてくれたことが嬉しかった。


その夜に薫ちゃんは日本経由カンボジアからハノイに帰ってきたようだ。美大生からの仲の彼女、旧知のミズキさんと結婚して子供もいてハノイ在住と聞いた時には驚いた。ツアー出発前にスタジオがあるからナニカしようと電話で話したものの、ハノイ不在ではありえないと思えた。
次の日に再会して翌日のイベント決行を確認。ところが、宿に帰ってアイフォンがメールもネットも受信しなくなり、告知はおろか今後の旅にかなりの悪影響が予想され、対応と混乱と悶々の夜を過ごした。翌朝場所を変えたところ原因不明のままあっさり復旧。


3.4. ハノイ郊外の彼女のスタジオは、一般住居や古本屋兼図書館などがある一画にあった。中庭の駐輪場の屋上を舞台に指定され、背後にヤシのような巨木がある不思議な空間が生まれた。スタジオではフウア上映、、、ただし諸々の不具合で美術家の彼女の目論見は果たせず、サックスソロ主体のイベントになった。
夕刻の明るく暑く雑多な空気感での演奏に不安がよぎるが、予想を上回るお客さん達にソプラニーノで正面から向かう覚悟を決めた。曲のみを数曲、ほとんど特殊奏法も即興もなしに気持ち良く演奏。お客さん達の集中とエネルギーに助けられた。近所の子供やおじさんも喜んでいたらしいし、CDも売れた。
ゆるいながら、彼女の人柄で成功した企画と楽しかった時間に感謝。
みんなで打ち上げし、ハノイ滞在3日間は終わった。