salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 アジア冬・6(シンガポール)

12/2 ヤンセン、ベンズィーとお別れに早い朝食を食べて、バスターミナルに送ってもらった。
いよいよ国際バスを経験する。1500円弱の安い方を選んだのに、充分立派な二階建バスが来た。その階上の最前列だったのですこぶる景色がよろしい。ジャングルやプランテーションを縫ってシンガポールへ進む。川も土も同じ茶色の光景が続く。そんなのを見る度に、日本の自然の美しさは奇跡だと思う。


国境になり、なにやらの建物に入って降ろされた。パスポートと言っている。というかそれで国境だと気づいたのだけど。少しばかり緊張するが直ぐに終了。でも今のは出国だけで、、、不安が募るが、そこから更にしばらく走って橋で海を渡ってから入国審査だった。考えれば当たり前ではあるが、初めてのことだし気が重い。こういったことを1人で初体験することはストレスだ。
陸路の国境越えは車でカナダからアメリカの経験があるが、その時は友人がいた。あとスイスで電車の乗り換え時にスーツケースチェック経験が1回あったが、それは入国審査だけだったしそれ以降はなぜかない。EUは当然なにもない。
橋が渋滞する程これだけ大量の人と物が往来するのを審査なんて、実際できるのかな。国境って、国って、、。


さて、無事シンガポールに入国して多分終点でバスを降ろされて、、、まずはワイファイゾーンに行かないとどこに行っていいかわからない。そのためにはここがどこなのか、である。いつもこんな具合。適当に歩いていくと電車のマークがありそれに従い駅に辿り行く。ワイファイはなかったが幸い主催のマークからのメールにヒントがあり、駅員に見せて切符も買ってもらい乗車成功。そしてマークが現在仕事で企画中のイベント会場で再会を果たした。
シンガポールは今、あちらこちらで様々な催しが繰り広げられていて、国を挙げて世界を巡業してきたイベントの音楽監督の1人がぼくの企画をしてくれるマーク。そしてそのディレクターも知り合いの女のコだったし、例のオブザーバトリーの連中も出演していた。
イベントを楽しんだあと、泊めてもらうユズルさん宅までマークに送ってもらった。彼女はパフォーマーだったり映画制作家だったり。その彼女の映画は受賞したばかりだった。



12/4 ホフネンとハルリの上映+ソロ。工場の3階のだだ広いスペースを合板で細く仕切った貸し部屋団地の中の、ひとつの大きめのスペースが会場 Mettlework だった。全く海外には思いもよらない会場があるもんだ。
疲れが溜まっている上に、暑い中を楽器担いで歩いてやっと会場を探し出したので、着いた時にはほぼ限界。そこの女性がエアコン、ソファ付きの部屋に招じ入れてくれ、冷たい炭酸水をくれたおかげで生き返ることができた。
今回初めて知ったのだが、1日乗り物に揺られる日以外のツアー中は、1日に軽く1万歩以上歩いていたのだ。平均1.5万歩程。楽器2本とバッグを担いで、それにスーツケース引いて。
さて、上映会はあちこちでイベントだらけのために集客は厳しかったけど、観てくれた人はみんな喜んでくれたし、映画関係の女性が好意的で情報をくれたり。
終演後、クアラルンプールのヤンセンとシーワイたちが他会場で演奏しているというので、みんなで駆けつける。
その後ユズルさんの家で、ルームシェアしている2人を加えて深夜のぼくのミニ上映会。話は盛り上がり、就寝4時。



12/5 シンガポールだけでなく、ツアー最後のライブ。場所は前回も演奏した Artistry。いかしたカフェなのだ。飲み物も食べ物もおいしい。冷房が効きすぎるのがちょっと困るのだけど。
出番はラスト。お客さんの入りもまずまず。オブザーバトリーのチーワイや見覚えのある顔もちらほら。存分にソロ演奏する。満足。拍手も声掛けも嬉しい。マークも微笑んでいる。
来ていたヤンセンいわく、クアラルンプールの方が良かったって。しょうがない。こちらはベストを尽くすだけだ。それより彼の素直な評価が嬉しい。


こうしてタイはバンコクチェンマイ、マレーシアはクアラルンプール、そしてシンガポールの3週間、3カ国4都市10公演のツアーは終わった。前回よりゆったりのスケジュールで、そして新たにチェンマイに行くこともできた。
少しづつ、少しづつ、サルモワールドを広げていく、必ず会うべき人々がいて、そしてサルモワールドがなんなのかを確かめていく旅。