salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 ハルリ @池

もう20年ほど裏山を徘徊してきた。裏山とは、霊山、障子岳、本宮山、宇曽山などで、大分市の屏風然とした山々。最高点で700mだからそう高くない山並みながら、中々に深くて山岳の雰囲気を充分に醸し出し、山菜も木の実もあれば渓流魚アマゴも一部生息している。それらの山々に抱かれるように小さな池がある。千と千尋のような細道以外に立派な道路も1本通じている。
なにしろぼくの運転で家から15分で池に着くのだから、季節、天候、時刻、雨、台風、雪に関係なく度々訪れてきた。


大分県県民の森は、現在は大分市編入された野津原から豊後大野市大分市にまたがる広い面積があり、各所に気持ちのよい場所が点在し、冬でも天気が良ければサックスは吹けるし、時には大型テントに卓上コンロを持ち込んだり、あるいはたき火で焼き芋を作りながら練習したこともあった。


初めて県民の森の一部、青少年の森と池を訪れたのは1990年、25年程前。この地域は以前より大分市内なのである。
当時ヤマメやアマゴの発眼卵放流のために、あちこちの渓流を独り巡り、また放流の実験を繰り返していた。その中で大分川支流七瀬川支谷(園田川=大藪谷)を車で上っていって辿り着いたのがこの池のある青少年の森だった。ヨーロッパの森の中にこつ然と現れた池と建物のように感じた記憶がある。なお、その道はもう車は通れない。


2010年、映画を作ろうと思い立ち、2012年にホフネン完成。それは延岡の山奥の祝子川が主な撮影地だったが、まもなく大分川やこの池の撮影も始めているので足かけ4、5年。本作にかかってからでも2年以上費やしていて、量的には25分映画が2、3本できるくらいある。
そうして2014年7月にできたのが2作目「ハルリ」(25分)。なんとなくホフネンの続きで、それは自分の心の変化を表してもいる。隠しテーマは「もういいかい?」
主人公は水の精。実際2作とも水しか映していない。観客は水しか観ていないのだ。彼女?が私(たち)に水を通して世界・宇宙を見せている、という設定だけど、これは自分が映像を撮って観て感じたことなので、他の人はどう感じるかはわからないし、知りたいところでもある。
2作とも特殊な編集も何もしていない。技術も知識も立派な機材も持たないミュージシャンが、だから何にも束縛なく作ったことに意味があるように思う。
それはサックスで即興演奏する時と立ち位置は変わらない。来る音来る映像をありがたくいただき、意識や意図して作らない。
そうしてできた初映画ホフネンはハンガリーイラクの映画祭に。ハルリはイタリア、インド、コロンビア、韓国、そして未確認ながらタイの映画祭で入選。


いつか撮影現地でハルリを上映できないかとは思っていた。
今夏のある日、池への運転中ふいに、自分で企画すればいいじゃないかと、当然ともいえる考えが浮かんだ。人を当てにしていた。
そしてすぐに開催日を11月1日(日)に設定し、少年の森展示館使用の申し込みをした。
その後ツアーなどでバタバタしていて、9月下旬になってあわてて、初めて名刺作成ツールで原稿作成入稿チラシ印刷。
その後また東南アジアツアーの計画ややりとりなどでバタバタしていて、この2、3日であわててHPスケジュールアップ、FBアップ、FBイベントアップ、ブログアップをしている次第。


大分でぼくの音楽活動は必ずしも多くの人々と結びついていたとは言えない。
何度も言ってきたように今、世界は動いている。多分その流れの中で映画を作ることにもなった。
この山域を遊び続けてきて、ますます思うことがある。それはここが何かを秘めているということ。
だからここでここの映画を上映し、ここでできた曲をサックスで演奏することが、次のなにかや人々につながる予感がしている。感謝の気持ちも表せる。
ここにきてわくわく感も出てきた。
天気がよければ外で演奏しよう。ここは音のリバーブ(残響)が半端なく気持ちいいのだ。


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