salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 鹿児島ツアー 2

思いがけず初めて霧島神宮を参拝して温泉につかり、車中泊する理由もないので昨年のパラードにも参加してもらった鹿児島市の松本充明氏宅を目指した。
かれは改造楽器などを使う表現者だが音楽家ではない、と本人は言う。東京やフランスを経て鹿児島に移ってレトロフトという場と出会い、そこでcroisementsというイベントを開催している。今回はその5回目。


かれはその古本屋、カフェ、ギャラリー、食堂などが渾然一体となった魅力一杯のレトロフトビルの1室に住んでいた。
翌朝かれと話していて、大分から鹿児島に移ったNちゃんはこのビルに住んでいると聞いてビックリ。
彼女が働いている近くのアートNPO KCIKのあるビルに入ってみると、中世のコーラスグループがリハーサルを始めようとしていて、ひとり観賞することに。なかなか素敵だった。と、そこにNちゃんは現れるは、レトロフトのオーナー夫妻は現れるは、その他の人たちとも挨拶するおもしろい展開に。コーラスの女性とも鹿児島を離れる際に道端で出会うのであった。


さて、コンサート。レトロフトの中央にある凹みのような地下状の空間が会場で、1階の囲みにある手すりからの観賞もできるユニークさ。本の形をした紙箱に入って供された特製サンドイッチは美味しかった。
松本氏の改造琵琶のソロに続いてぼくのソロ。そしてデュオ。
確定申告の時期でいつもよりお客さんが少ないそうだが、それでもなかなかの人たちが詰めかけてくれた。
演奏後に本の「アルケミスト」を素材に言いたいことを話した。かなりお客さんたちの反応は熱かった。松本氏とレトロフトなどとの出会いが、新しい渦を作りつつあるのを感じた。
おでんやの打ち上げはイレギュラーもありつつ楽しんだ。


翌日、松本氏とNちゃんと桜島へ。あいにくの雨だったが、港まで歩いてフェリーで渡って食事と温泉。オツな小旅行。
戻って夕方のホフネン上映の準備。昨夜と本日とツーデイズを企画してくれたのだ。


暗闇の中、短いサックスソロを終えてそのまま上映に移行。スムーズに進行、、あれ?音がない!リハーサルでは問題なかったのに!
やむなく中断。結局原因はわからないままに直って再開。この中断中のおしゃべりタイムも結果悪くなかったな。


自作の上映に立ち会うのは、何度経験しても居心地の悪いものである。でも幸い、大抵の場合お客さんの反応はよくて胸を撫で下ろすのだけど。この日も予想以上の反響があり、これは桜島をはじめとする鹿児島の土地の熱さも関係しているのだろう。
両日ともにお客さんたちの熱気を感じつつ聞いた感想に、疲れだとか抱えていたものが落ちた、といった似たもの多かった。偶然に何人もの人、特に女性からそう発せられたのだ。ぼくはいつも言ってるように、人を癒そうなんて思っていないどころか、刺激を与えようとさえしているのだ。それを含めて癒しと感じてくれるのなら、それはとても嬉しいことだ。


シャレた中華料理店の打ち上げは当然盛り上がった。


(続く)