salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー2014 その4

(ロンドン)
10月12日。4時に寝て、7時にはもう起きてイクくんの付き添いでベルリン・テーゲル空港へ。
ロンドンに向かう洋上で時折現れる雲海に、見事な光輪が。その中心は自分だ。ヨーロッパ大陸の旅の終わりと、イギリス、アイルランドの旅の始まりを祝してくれた。


またまた空港から苦労して辿り着いた久しぶり2回目のカフェOTO。知り合いの日本人スタッフがいるので助かる。豆スープで身体を整える。
この日と翌日のブライトン市で、Akodeとの対バンが組まれていた。


この日の演奏はソプラニーノで小品を数曲とアルトで即興、計40分ほどのソロ。良い反応と暖かい拍手。何人か声をかけてくれ、CDも売れた。ロジャー ターナーも聴きに来てくれていた。



(ブライトン)
翌日、ロンドンから南に下ったブライトン市のカウリークラブ。
バスと電車を乗り継いで、またやっと辿り着いたここにも日本人女性のスタッフがいて、色々と助かった。
ソロ演奏終了後に彼女曰く、他のバンドや音楽とは質が違うとお褒めに預かり、実際CDも売れた。彼女のことばの裏にはイギリスでの苦労があるようで、ぼく自身、前回同様にいい人たちに出会いはするけど、お金、交通、都市システム、応待などでけっこう嫌な気分に見舞われる。
彼女には翌朝、駅まで随行いただいた。



(コーク)
10月14日、2日滞在のイギリスを脱出して、初アイルランドはコーク空港に降り立った。
途中またしても洋上で雲に光輪が。これは飛行機の横斜め上方に太陽が出ていて、かつ下方に雲があることが条件で、しかも片方の窓側の席しか目撃できない。実は今回2回とも中の席だったのだが、最初は満席に関わらず隣の窓側の席が空いていたのと、この日は乗る直前に席が窓側に変更されたのだった。


空港から市内にバス移動後、坂道の多い街をずいぶん歩き回ってやっと会場のゲストハウス到着。楽器2本とショルダーバッグを肩に掛けてスーツケースを引きずっての移動はこたえる。ここに滞在かと思いきや、また坂道を歩いて主催者で共演もするミックの家に連れていかれ、そこに3泊することに。
ダブリンの見ず知らずの主催者からミックにコンタクトしてきた見ず知らずのぼくを、とても歓待してくれる。ミュージシャン冥利だ。
翌日ゲストハウスでのパーティーに招待され、そこで会った日本人女性に夜、パブに連れて行ってもらい、生のアイリッシュ音楽を楽しんだ。


10月16日。アイルランドだし、ストーンサークルでも行きたいが近くにはないらしい。天気は降ったり晴れたりだし、結局また小さな街をぶらついて、夕方会場のゲストハウスに向かった。
ここはアーティストが集まったり、演奏したり、レジデンスだったりの場で、名前と違ってホテルではなかった。
ミックはここでも料理の腕を振るう。
演奏はミックとポールのデュオ。2人ともエレクトロニクス奏者。そしてぼくのソロ、最後に3人で。
中々にいい内容で、アイルランドの地にもシーンはあったんだと感心した。2人とも日本で演奏しているというし。
そしてホフネン上映。妖精の国なのにヨーロッパでは一番反応がかんばしくなかったな。こちらにできることとして、少なくとも集中して観られる環境を作る努力が大事だと、今更ながら感じた次第。


この国で妖精に会えるだろうか、それともすでに会ったのか。
コーク最後の夜、友達になった女の子がアイルランド語を話してくれた。優しく柔らかだった。



(ダブリン)
10月17日。またもや風雨の中、格安バスでコークからダブリンへ。いよいよ最後の訪問地。
ダブリンのバス停に来てくれた Fergus は、アイルランドの旅を一生懸命助けてくれ、ぼくのCDが一般ラジオで流されていたり、ガーディアン新聞に載ったりと、なんとも楽しいし嬉しい。もう1人の Ron もとても好意的で、彼の家に3日滞在する。
初対面の彼らと歓迎の夕食会後、つたなすぎる英語で音楽や世界のことを深夜まで話す。
国に関係なく、共通の認識と心を持っている。そんな人々に出会ってきたし、その為に旅をし、演奏する。


10月18日。ダブリンの街を少し散策後、会場のTwisted Pepperへ。
Ron や Fergus たちの "NO" のあとソロ、そして彼らとのセッション。休憩後ホフネン上映。
会場の上だか横だかでノイジーなバンドがうるさく、その上PAも少々お粗末で満足できない内容だったが、みんなは喜んでくれ、放送局のインタビュー後の韓国料理店での打ち上げは深夜に及び、就寝は3時をまわっていた。


翌日はぼくのリクエストに応えてくれ、彼らと5人、車でニューグレンジ古墳へドライブ。相変わらず降ったり晴れたりの中、平原に巨大な虹の両端だけが姿を現した。
帰宅後、彼らと送別の夕食会。3日間の心のもてなしに感謝。再会を約す。
彼らの内にフェアリーがいることは間違いない。
こうして初のアイルランド訪問と4週間の旅は終わった。