salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー (トゥールーズ)

(6/4-5)


モンペリエからトゥールーズへ。
駅で時間をつぶしてから夕方に待ち合わせ場所に移動。迎えに来てくれたのはエディ。かれとはもう長い付き合いで、アメリ東海岸ツアーの時も幾日かを一緒に過ごしたし、前回のフランスツアーもかれのアレンジで一緒に回った。今回のフランスもかれが手伝ってくれた。
その後病気でサックスを引退し心配していたのだ。エレクトロニクスやギターで再起してやっていることは知っていたが、実際に会ってみて安心したのだった。


月1回のセッションがあるというので付いていき、結局参加することになった。6人で数回演奏したがその質の高さにびっくりした。エディは50人のオーケストラを計画しているとも聞いて、そのミュージシャンの質量ともに驚かされた。


かれの家で軽く食事をして就寝。でもかれの家は郊外だし仕事を持っているので、朝ゆっくりすることもできず、疲れと睡眠不足のままトゥールーズの街を1人観光することに。ついに最悪に近づいて来た。
もうあまり歩けない。やっと探していたレストランで名物のカスレを注文。小1時間かかって出て来たそれは、鉢を豆で満たし、その中にソーセージや鳥1羽等々を入れて、表面にはチーズをまぶしてオーブンでじっくり焼いたもので美味しかった。ある意味田舎料理のそれは、でも冬に食べるものらしかった。フランス人は軽く食すらしいがぼくに完食はできなかった。少し残したがもうだめだった。疲れと睡眠不足と今度は消化不良で気分も悪くなって来た。
公園などで休憩しながら、約束の5時に会場の lieu commun に着いた時には平静を装うのがやっとだった。
その後少し寝たり呼吸法をやったり調整するうちに、幸い平常になってきた。


この会場でも絵や写真や立体などの展示が行われていた。
2階の広い部屋でまずソロ。この手の部屋はサックス演奏には反響が良くて気持ちがいい。まだ明るさの残る時間帯だったので、またいつもとは違う気持ちで臨めた。ソプラニーノ曲集にアルトの短い即興などを交えて、いつものように組曲風に構成してみた。最初に久しぶりのアルトによる「hi,」と、最後にソプラニーノの「カミサン」と、鼓膜そのものと頭蓋骨を振るわすこの2曲でサンドイッチした。中身には、ソプラニーノの音色を引き出す音や不定形だけどリズミックな躍動感のある数曲、それに間や空間をちりばめた。
2部は1階の少し狭い空間でエディとの即興デュオ。これもなかなかスペース感のある演奏だった。

演奏はかなり好評だったようで、情報は他の場所にもすぐ伝わっていた。


会場にはミュージシャンの河端一氏が来てくれていた。思いがけない場所で会うのは嬉しいものだ。でも考えてみれば、旅先での遭遇の方が可能性は高いのかもしれない。