salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 EUツアー (モンペリエ)

(6/2-3)


いざ、モンペリエへ。
予備知識はなんにもないが、なんとなく昔から聞く名前だし、いかにも南フランスらしいではないか。この日あたりからやっと季節に見合った天候にもなってきた。それまで天気が悪く、仮に良くても寒い日々が続いていた。


駅に主催者のローランが迎えに来てくれた。
かれは以前ロンドンの OTO 公演をやってくれたオリビエの兄貴でミュージシャンでもある。フランス中央部で生まれ育ったというかれらの素朴で野性的な行動は似ていた。フィルムや宣伝広告などの業界にいたらしいが、あまりの経済至上主義に嫌気がさして、今は自分自身の創作活動と企画主催に徹している。遊びに来ていた若いミュージシャンも同様に今のこんな時代と暴力に辟易していて、3人で大いに同意して盛り上がった。次の時代を迎えようとしていることを感じているアーティストは多い。
ローランの日本人の彼女と2人は、2日間の滞在中よくしてくれた。


一休みして、夕方から会場に赴いた。
個人がセメントで造形的に造ったなんとも形容し難い、おもちゃの城のようでもある Villa des Cent Regards と名付けられた邸で、いくつもある部屋の中では絵のエクスビジョンも行われていた。
日曜ということで少し早めと夜との2部構成だったが、結局お客さんで両方ともいた人はいなかったので、構成をもう少し変えた方がよかったかもしれない。
1部はソプラニーノで曲中心。2部はアルトで即興中心という、今の自分のテーマに沿った構成。
特に2部のお客さんは聴いて喜んでくれて、一緒にアフターアワーズの食事会を庭で催し、それにバーベキューも加わった。フランス人は食事と会話が好きだ。
この日も就寝したのは3時くらいだったろうか。


翌日はゆっくり起きて、午後からトラムとバスを乗り継いで地中海を見に行った。ローランが手際よく案内してくれるのだが、けっこうな距離を歩かされ、でも南フランスの地中海を堪能できた。
数年前に初めて列車から見た時の緑色の地中海が鮮烈に焼き付いていた。こうして地中海の砂浜に直に触れるのはこれが初めてだった。
長い海岸線を裸足で歩いていると、海水浴客は次第に観光人から地元民に変わり、やがてゲイゾーンに、そしてヌーディストゾーンに変わって行く。まったく日本とはこうも違うものだ。
水平線に見えるのは幻影の浮かび上がったミラージュ。その向こうにはアフリカが広がる。


夜は例の若手ミュージシャンも加わって話がはずみ3時に退散したが、かれらは朝まで起きていたらしい。
リヨンからこっち毎夜寝るのが3時とかで、そろそろやばい。