salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 BACK TO THE TREES

企画者は8時起きで巨大なトロリーバスでリヨン駅に送ってくれ、昼前にベザンソンに着いた。去年ナポリで知り合った夫婦が出迎えてくれ、かれらの家に滞在する。
かれはチェリストでセバスチャンといい、あさってはかれのアトリエでコンサートを開いてくれる。
今夜はベザンソンの郊外の森で催されるフェス "BACK TO THE TREES" に彼女のエステラがインスタレーションで参加するのに呼んでくれた。このフェスは昨年出演したフェス「青い夜」の主催者の1人が催すアートを中心としたものだ。


昼過ぎに現場でハムやチーズやセサミなどでピクニック気分。きのうから気温が上がったらしく、強い日差しの中をくつろいだ。その後、作品を仕上げる間にかれらの家で一休みして、夜再び現地へ。開催前に関係者全員にディナーが供された。


彼女の作品は、細かい切り絵状の布、2m×3m 程のもの2枚に、それぞれ天蓋と明かりを付けて吊り上げ、地面にはそれに合わせて紙を2列敷いて、その上に影を浮かび上がらせるもの。樹々に囲まれた窪地に設営されていて、ほのぼのとした幽玄さが感じられた。
思いがけず100人は老若男女が集まってきた。9時20分、ソロ演奏開始。無風。野外なので音が拡散するのと、湿気のためにパーカッシブな音が響かずに少し苦労するが、30分間満足いく演奏ができた。
聴衆は子供たちも含め、静かに耳を傾けてくれた。演奏後も人々はしばらく動かず、おばちゃんたちが何人もほめてくれた。


広く深く暗い森の中に、30数人のアーティストが20数カ所に音や光の作品を点在させ、大勢の人たちが細々と点々と導く灯りと地図を頼りに、足元をとられながら彷徨う。なんとばかげて素敵なイベントか。
ベザンソンは日本の中都市程度もあろうか。そんな街で即興系やアートのフェスも含め様々な催しが年間いくつもあり、人々はそれらを楽しむ。数年後には街の中心部から車を閉め出して、トラムを走らせるという。そこには、生きている人間が中心にあるという基本が見えてくる。
昨年のフェスの主催者やスタッフたちとも再会でき、たまたま来ていたスイスのベーシスト、クリスチャン・ウェーバーとも会うし、嬉しい夜だった。


深夜2時にフェスは終了。
わずか数時間のために多くの時間と労力を費やし、そして解体は4時までかかった。



米 このヨーロッパツアー中の映像がもうアップされている。
http://www.youtube.com/watch?v=efteSSFLYjY
with Z'EV @cafe OTO、ロンドン
http://www.youtube.com/watch?v=HPpAYgbObsQ
SSE @Musiccafeen in Aarhus, デンマーク