salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 リード

実は最近、リードで悩んでいた。


フランスA社のリードに出会ったのが2003年だったか。衝撃を受けた。その頭蓋骨を振るわす音に。パワフルで深くそして優しい音色。
それにその「鳴る」確率は50%を超えた。
個人差が大きいことだが、普通1箱10枚リードがあったとして演奏会に使えるのは1〜3枚といったところ。
このA社リードがある限りもう安泰、不安はないと思ってきた。
ところがこの1年ほどなんだか怪しくなってきて、開ける箱開ける箱ハズレが続いた。最近試した約50枚はほぼ全滅だった。
最後のくたびれかけた「よく鳴る」リードをだましだまし使い、先月の関西ツアーをなんとか乗り切った。


A社に助けを求めた。そして日本に輸入されていない薄い番手のリードを送ってくれた。とりあえずその中から10枚試奏。
ん〜、脳天を突き抜ける音には今ひとつだが、かつての響きの感覚がよみがえってきた。脳みそは掻き混ぜられた。これはいける。つのる焦りや不安から解放された。
イャ〜、嬉しい、、。


この竹べら状のリードを口の中で息で振動させて音を発生させる。リードは葦の一種で、世界で南フランスの海辺のものだけから作られるらしい。当然気候などの影響も受けるはずなので、規格はいっしょで材質の堅さが変わった可能性もある。あるいはA社の製造工程や厚さが変わったのだろうか。
今後海外の店から買わねばならない不便さはあるが、今がネットの時代でよかった。


「A社リードがサルモサックスを作っている」と感謝の気持ちを伝えたが、それは決して誇張ではなく、自分の音楽はそんな微妙なバランスの上に成り立っているのだ。


ヤレヤレ!