salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 沖縄報告

salmosax2009-07-27

2年ぶりの5日間に及ぶ沖縄ツアーは、暑く、熱く、充実した楽しいものだった。
主催で沖縄芸大生のショウくん、コナツちゃん、ありがとう〜。
今回あらためて、日本に北海道と沖縄があって良かったとしみじみ感じた、もちろん文化人類的な意味で。


ところで音楽活動で初めて沖縄を訪れたのは、04年の8月だった。
屋久島で初めて演奏するという時に、石垣島の知人が近いからついでに来いという。でも両島の連絡便はなく、全然ついでではなかったがいい機会だと思って行くことにした。
石垣に行くには沖縄本島に行かねばならない。ならば那覇でもぜひ演奏したいと思い、まったく人脈はない中なんとか1カ所探し出した。そこは居酒屋で、正直辛い思いをしたものの、そこで香取光一郎さん(キーボード)に出会い、そこからラッパ堂などにもにつながり、05、06、07年とツアーを続けた。
でもそれは経済的に厳しく昨年は断念したのだが、今年ヨシハマショウくんからお誘いを受けた。会ってみると、かれは2年前にぼくの演奏を聴いていたというので驚いた。居酒屋から始まった動きが今回のツアーにつながっていた。


16日、那覇空港からすぐに県立芸術大学へ。ここの学生とも前回から縁がある。
十数人の学生を前にトークと質疑応答、サンプルにサックスを少し吹く。
内容は自分の音楽観。
この世には様々な音楽があって、即興ミュージシャンなどは1人が1つのジャンルとも言えるくらいだ。それらの善し悪しなど言えるべくもなく、結局は自分のことを伝えるしかない。しかもその音楽観を固定化したり、絶対化したりしようものなら、その瞬間にそれはすでに間違いだとも思っている。
とにかく誠実に感じていることを伝えようとする。それに対して数人から質問があったが、そんなことは通常の授業ではあまりないことだと聞いた。
終了後何人かと、以前偶然行ったことのあるお店で打ち上げ。そして首里城の城壁下でかれらと夜更けまで語らった。こんな時間は好きだ。


17日、浦添のグルーブで salmosax ensemble (sse) のワークショップ。
このお店はベースのガチャピンさん経営の、演奏なんでもありの貴重なスペースだ。
3人集まってくれた参加者は、最初からほとんど間違わずに半自動即興曲をこなしていく。しまった! こんなことなら五線紙の曲も準備するんだった。
このワークショップは、5月の別府以来6月の三重に続くもので、自分としても経験が十分ではなく、どんな人が来るのかも何人来るのかも分からないので、けっこう緊張するし毎回勉強になる。


18日、同グルーブで、ソロと sse。
他にショウくんやコナツちゃんたち2組が出演したが、以前の沖縄では、こんなエレクトロニクスやらグラスとかを使う即興系のコンサートなんて考えられなかった。この動きが続いていって欲しい。
sse は残念ながら1人が参加できなかったが、合計3名ながら「who?」など、かなりエキサイトな演奏だった。


19日は那覇栄町市場の真南蛮さんぴん食堂。
この市場は少しばかり馴染みがあって、そこで演奏することにびっくり。しかもその食堂経営者は屋久島でお世話になった手塚氏の娘さんで、かれらに同行した久留米の岩戸山古墳で「チクシ」(Patiruma と祝子に収録)は生まれた。しかもその息子さんはここの現芸大生で、今回毎日顔を会わせた。しかも当の手塚氏までも当日居合わせて再会したのだった。
実は当初 CELLO というお店に確定していたのだが JASRAC の調査が入ったとかでドタキャンになり、一時は開催もあきらめかけていたそうだが、急遽この食堂が決まったということで、世の中本当におもしろい。
再会した香取氏はアコーディオンで歌声ナツメロ。いよいよここまできたか、と嬉しい。
ぼくは演奏の最後、楽譜を見て演奏していたが、目に汗が入り中断したり間違えたり。暑い沖縄ではのハプニングだった。反省。
また南国での即興演奏について前回述べたが、加えて暑い環境下で感性を集中すること自体の困難さもあるさー、と思った。


20日は沖縄市、旧古座の音洞。
初めての街だが、先入観のためか、なんとなく乾いた落ち着かない気がした。
お店は地下でオーナーもスタッフも感じがいい。
DJやVJも参加しての、少し賑やかな最終日。
ショウくんも演奏がんばっていた。ダンサーが何人もかれと共演していたが、なんと京都 JCDN の Mさんと別府フェス以来の再会。おもしろいもんだ。
随分前から考えていた、自分で撮った渓流のスライドショーを浴びながらの演奏をついに実現。またやってもいいかな。
最後に hitori-sse (自分で演奏、多重録音したCDRをバックに演奏する salmosax ensemble ひとり版)を披露して終った。


( この稿もう1回続く。)