salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 閉幕と花道

昨夜、別府現代アートフェス(別府混浴世界)が2ヶ月間の会期を終えて無事に閉幕した。


5/24 のアサミライブの出演が終って用なしとなっていたが、6/13(土) わくわくアパートでの4畳半ライブと、6/14(日) 落日のベップダンス「オープン・ルーム」(コンテンポラリー・ダンス)出演が急遽決まった。


仕事を終えた安堵感から、お礼とお別れの演奏をしたいと思っていたところに「わくわく」の遠藤一郎くんからお誘いを受けたもので、「演奏会」ではなく、そんな気持ちでクラシックやジャズの曲を吹いた。


「ダンス」の方はその4、5日前にダンスディレクターJCDの佐藤範一氏からの依頼があり、それはアサミライブを聴いて評価されたもので嬉しい。


会場の80年の歴史ある別府市中央公民館で打ち合わせやリハ。ぼくが3、4才の時にここでNHKのど自慢を観た記憶がうっすらと残っている。
一般公募参加ダンサー数十名を、ヤングやオヤジやミセスや子供とかに分けて、それぞれ部屋も替えて、観客は順に移動して楽しむ趣向になっている。
失礼ながら素人だからと思っていたのだが、その完成度と面白さに正直驚いた。確かなコンセプトと演出。
考えてみればぼくの音楽観にも通じるところがあって、それは素人の良さであったり、素人にできることとかで、そんなことで感動を呼ぶことは可能なのだ。


それら演目の合間に5、6分の演奏を3回するのだが、打ち合わせはスムーズに進んだ。
最初の2階の廊下は残響音が気持ちよく、バッハの無伴奏チェロ組曲から「サラバンド」を選曲。サックスの音域いっぱいに単音を連続して響かせる即興を少しはさんだ。高い天井の暗い廊下に淡い照明。ぼくの後ろの階段ではスウェイン佳子さんが踊ってくれた。
こんなカッコいい場面はそうそうない。
その次は3階の廊下。北村成美さんと森下真樹さんのユーモラスなダンスに合わせて即興。
その後2人がお客さんたちを踊りながら屋外に誘導して終るのだが、ここで更においしい場面が用意された。3階のバルコニーから「アニーローリー」を吹くのだ。全員が正面出入口前から見上げるかっこうで。
みんな長い時間練習をしてきた作品に、ちょろっとサックス吹きが来て一番おいしいところをさらっていくようで申し訳なかった。
2回目公演にいたっては終演後そのままフェスの閉幕式になり、市長列席のセレモニーの最後をスポットライトを浴び「アニーローリー」で飾ってしまった。


ささやかながら半年関わってきたフェスの最後に、合計300人のお客さんを前にこんな花道のような演奏の機会を得て嬉しかった。
また、広報を含めて8回の演奏で、即興、salmosax ensemble、クラシック、ポップなど、サルモサックス・ワールドを紹介できたことも大きく、手応えも感じた。




「わくわく混浴アパートメント」に参加した、全国の多くの若いアーティストたちの存在も見逃せない。かれらはフェス全体に積極的に絡んで、ユニークな表現を繰り広げた。かれらに接することは楽しかった。
リハの合間を縫って、「アパート」の山中カメラくんの「別府最適音頭」を1コーラス、アドリブ・ソロ録音。なかなかに振り付けも歌もいい。ちょっと編集に注文をつけているが、CDR1枚に付き100円バックということなので、みなさんよろしくお買い上げお願いいたします。(1枚500円になるのかな)




終演後、打ち上げやらなんかで朝6時までみんなと過ごした。
主催者やボランティアや参加のみなさん、本当にお疲れ様でした。
総合プロデュサーの山出淳也氏はこのフェスを続けることを告白表明した。