salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 光と記憶

salmosax2007-10-04

松山市郊外にある古民家で演奏してきました。(9/30)


この大きな家を舞台に現代アートと古いものを並列することで今を際立たせようとするギャラリー・リブアートが主体の企画、「渡部家住宅その光と記憶。」
銅版画の井出創太郎氏による襖絵、障子絵を中心に、色々な音楽や人形芝居などを絡めるもので、三年越しの息の長い点も素晴らしい。
http://liveart25.exblog.jp/6378658/


広い土間に低い壇を設け、左寄りの奥に陣取り(いつも気持ちよく演奏できる場所を選び、音によって選んだことはない!)、そこを中心にやや扇状に椅子を並べる。
できるだけ戸窓を閉めて暗めにし、ライトを1本斜めに当ててもらう。
高い天井、土、木、紙に囲まれたその空間は、思ったより音が跳ね返らなかった。
1.チクシ 2.即興(40分?) 3.ホウリ と1時間ほどのステージ。
ホウリを演奏するのは2回目だが、終わってソプラニーノよりアルトがいいかな、キーもBよりCがいいかな、と思ったり。
こんな迷い方は珍しい。
最近は曲とサックスの種類、そしてキー(調)はセットでスパッと決まる。この曲は指定なしで、どのサックスでもやってみようか、、。


2年ほど前から、松山での演奏がポツポツと入ってきた。
そのどの企画も足を地につけたもので、その動員にしろ、全国でも特異な地ではないかと驚いてしまう。
ぼくはここで大学生だった。当時は青春を松山でおくることに恨みを持っていた。嫌いだった。
しかし他方、そんな思いの受け皿もあった、のかもしれない。色々な表現手段を持った人々がいた。熱かった。
考えれば正岡子規を輩出し、夏目漱石も住み、山頭火は終焉を迎えた地。一見瀬戸内式気候のゆるい街の深い所に何か息づくものがあるのだろうか。


20年の時を越えて再会した松山と友人たち、そして出会った人々と、これからどんなことが待っているのだろう。