salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 東南アジア1/ヤンゴン公演

salmosax2018-04-04

2018.2.17. 成田から南下する機上からはアルプスを除いてパノラマが広がり、夢中で見入っていた。大小都市、富士山、四国山脈霧島連山、遠くに九重、阿蘇。かつて旅した街町、山スキーで登った山々、渓魚を追った河川渓谷、、、と日本を出ていないことにはたと気づき、またなんで東京から地元の九州までをなぞらなければならないんだ、と無駄を惜しんでみたりして楽しんだ。
その後の洋上は雲ばかりで退屈したあとインドシナ半島。赤茶色の道が山やジャングルに幾本か延びていて、そこには象なども潜んでいるんだろうと想像する。日本の山の開発はこんなものではない。
半島を横断して3度目のミャンマーヤンゴン空港着陸。空港もタクシーの受付も道路もなんか変わってきた。多くの外国人とお金が入ってきているようだ。初めての時はあらゆることにショックを受けたものだが、巻きスカートのロンジーや、ほっぺたのタナカがなくならないことを祈る。
前回ヤンゴン大学で出会った青年Nと夕食。ヤンゴン旧正月ですごい賑わいで、街じゅう国じゅうでぼくの訪問を喜んでくれていた、とする。


2.18. Enyls がホテルに迎えに来てくれてミャンマー西部の海鮮料理をご馳走してくれた。微妙な美味しさに辛味が効く。
会場のギャラリー MYANM/ART でバイオリンなどを演奏するジューコーに再会。初めてヤンゴンに来た時に出会い、最近音信が途絶えていたが、ソウルフルな熱い男だ。
アメリカ人ナタリーの運営する会場は広く気分が良い。彼女が Noise in Yangon を紹介してくれ、かれらがぼくのコンサートを企画してくれた。ヤンゴンでノイズって驚きだけど、世界はそんな情報の時代なのだ。ノイズミュージシャンは熱く優しく現状に甘えない。そんなノイジシャンが5人いるらしい!?
やっと辿り着いたミャンマーでの公演。情報もなかったが、そもそもシーンさえないような国。訳の分からない音楽にお金を払う習慣もない状況下、投げ銭システムで要望に応えてくれたのだった。


実に記念すべき幕開けはぼくの映画フウア上映。暖かい拍手に感激。続いてソロを30分ほど気持ち良く演奏。やはり心地よい反応。
その後の彼らのセッションを外れて聴いていたのだが、思いがけない演奏に驚いた。バイオリンのピンキーもギターのイトも音をよく聴いて繊細に演奏。Enyls はドラマーなのだがドラムセットではない。その時点で嬉しかったのに、タムの上に無造作にぶら下げたマイクでフィードバックするなど、独自の音を出していた。ジューコーは抒情的に過ぎると思いきや、そんな音を溶け込ませ、あるいは浮き立たせ、詩を交えて全体の流れを作っていた。
傍観している時ではなかった。吸引力を持つかれらの音に呼ばれて合流。外の騒音やカラオケも全部飲み込んだ演奏が終わった。素晴らしかった。


大分出身ヤンゴン在住カメラマンの後藤さんたちも来てくれ、共にカチン料理で打ち上げしたのだった。