salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 映画「ホフネン」

2010年の4月から撮影を開始した、映画「ホフネン」が9/28ついに完成した。


ロッテルダム映画祭へのエントリーをとりあえず目標にしていたのだが、ある事情で10/1までに送付しなければならないのが9/23夜にわかってかなり焦った。その翌日からの短期間で主題歌の歌手が見つかって録音音源を入手し、水の精の「手」も現れて宮崎の祝子川で撮影し、9/28の完成に至ったのだ。ずっと難儀していた懸案があっという間に解決したわけだ。これはカミの助けなのか。


主題歌は96年4月に作った「カゲ」で、50音から適当に選んだ音を並べて歌詞を作った。その冒頭をとって作品名を「ホフネン」にした。縁があって、各地で活躍している「ゑでゐまあこん」のゑでゐにアカペラで歌ってもらった。声の主は「水の精」を想定しているが、よく応えてくれている。
ちなみにカゲとは、以前参加した劇中の天使の白いカゲで、ぼくのお気に入りの1曲だ。
実は、歌手は去年の6/1の時点である人に決まっていたのだが、今年の8/23にキャンセル。急いで次の人を探してメール依頼したところ事務所との交渉になり、ひと月後の9/25に不成立。直後ゑでゐに依頼して即座に録音を2度送ってもらうという、ぎりぎりの顛末だった。


「水の精」の手を写すことを思いついて、スカウトまがいのことをやったり、いくつかの大学にチラシを貼ったりして、夏を2度経過し、その間何人か決まりかけもしたが、結局祝子川の流れに入ってくれる女性は現れなかった。もう諦めてはいたが、でも〆切までなにもせずに待つのは正しくない。ジタバタしたら、友人が紹介してくれた。9/25即決で9/26撮影。
当日は天気がよくて暑かった。でも水温はやはり低く、撮影時間は短かったのだが、なんと、肩まで水に浸かった彼女は軽い低体温症になってしまった。よくがんばってくれた。


それら音源や映像を編集し、合わせ、全体の微調整をし、頭を熱くしてなんとかDVDを作成。それを牧野貴氏に送付し、じかに映画祭に持っていってもらうことになったのだ。おかげで英語による諸々の手続きからも解放された。ありがたい。
かれは若手の映画監督で、自ら前衛映画祭などを企画し、現在もっとも活動的な監督のひとりだろう。かれとは、かれの作品にライブで音を付けるよう依頼されて以来の付き合いだ。


こうして、カメラを買うところから始まった初の映画制作は終った。
出来についてはさっぱりわからない。でも、撮影の度に思いがけない映像に出会ったし、それらを通して全体のイメージが見えてきて、それに基づくストーリーやアイデアやメッセージは実現してしまった。今の時点でほぼ手を加える点もない。
人の評価は恐いが、それは自分と他人の感性の差異の問題なので、楽しみとしよう。


父の最期の9日間の入院付き添い中にも編集作業をしていた。撮影対象の大半は祝子川だ。作品は父と祝子川に捧げた。