salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 ラストサムライ

ラストサムライ」をテレビで観た。映画館以来2回目。
娯楽なのでありえないシーンがいっぱいあるが、全体に侍や日本人に対して好意的に作られている。この映画も契機のひとつで日本ブームが起きているらしい。
モデルは会津藩か。いずれにしても明治維新の激動の時代に似たことは多くあっただろう。
武士道の精神は武士に限ったものでなく、日本人全体の規範でもあった。新渡戸稲造の「武士道」の中で、明治の始めの時点で武士道がすたれたとすでに嘆いている。


価値観について何度か触れてきた。人類の価値観の転換は文明に始まり、象徴的に「リンゴをかじった」という表現をしてきた。以降ミクロ的にはあらゆる時代場所で事件が起きてきた。「心か金か」という命題で。
ラストサムライ」を抹殺した権力者の流れが、今の会津福島の原発問題につながってみえてならなかった。

だまされてはいけない。形態的に政治的に効率的に金融的に古いことが無価値ではない。
歴史や記憶から漏れていることの中に、人を生かす知恵が多くある。
棄てられ忘れられた「音」の中に宝石の原石がある。
そもそもそれらに時間の観念なるものはない。
それらに触れて生き生きと生きること、そこに価値があり、自由で新しいという。