salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 記 憶

地震直後の日本半周ツアーをしながら、色々なことを思い、感じた。


ぼくが知りたいことは人間本来の感覚、感性、生き方、価値観。
つまり人間の意識やエゴにより見えにくくなってしまった、あるいは忘れられてしまったものを。
でもいくら想像してもそれは頭の中のできごとだし、生まれてずっと教え込まれて来たものの中でのことだし、教育や情報も随分操作されているものばかりだし、捉えることは難しい。
根本的に異なる価値観があるのではないかと、脱サラ以来うすうすと感じてはきた。定職を失うことを恐怖に感じていた自分がドッコイまだ生きている。
普段何も買えなくても、CDを作る時や、機材が必要なときや、春の納税時など、必要な分のお金がなぜか回ってきたりする。
数字や計算や合理性や効率性によってこそ、生きられる幅が狭められているのではないか。
数字などではない、目に見えないものとつながること(=循環)で、人は生きていたのではないか。
ぼくはサルモサックス・ワールドを作りながら、何かとつながる作業をしてきたのかもしれない。計算ではなく感性を磨くことで。
つながる先は自然か、地球か、宇宙か、神か、人間か、、、。
考えてみると、一見音楽とは関係のない山スキーや渓流釣りもそんな作業だったのかもしれない。
御岳山頂からスキー滑降を失敗して滑落したのに、なぜか助かったのもそんなことだったのか。
まだまだ未熟で分からないことばかりだけど、何かと少しつながれているように感じる。色々な出来事や考えやなんかもつながってくる。


人間がリンゴをかじって以来の価値観の行く先のひとつは原発
リンゴをかじる前の価値観の記憶は自分の中にあると思っている。即興演奏の作業とまったく同様に、直感や感性をもってそれを思い出したい。

地震原発事故の揺さぶりも、それを思い出す一助になっているような気がした。