salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 固定と即興

先日の中谷達也との3人の即興ライブは予想通り、絶妙な出来だった。
正体不明の David Stackenas も、激しいばかりの音でなく、静かな音もミニマルも空間も内包したバランスの良い演奏だった。
こんな快感を得られることに幸運を感じる。


そんな即興について一考、、。


この世界に善悪はない。あえて言えば悪は「固定」で、善は囚われないこと(=自由)だろうか。なぜなら固定は死につながるものだから。もっともそれは、生を前提にした上でのことだけど。
固定には、固定観念、先入観、常識、その他内面的、外面的、肉体的なもろもろがある。
固定に対して「混沌」がある。何も定まらず流動的であるが、故に自由でエネルギーが充ちる。
そして「循環」。混沌になにがしかの秩序を与えたものか。
身体の血流も川の流れも人の流れも空気の流れもサケの母川回帰も、みな循環であり、それが妨げられると死につながる。
だから、固定(=形に囚われること)されないことが最重要になる。


即興演奏は囚われから逃れるための演奏方法だが、次には即興演奏という形に囚われる。囚われない心と身体から出てくる音は、すべて即興演奏といえるかもしれない。