salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 師走にて

おもしろいもので、毎年毎年日本の師走は慌ただしい。
そして新年を迎えた直後とのギャップ、、。
考えてみれば妙な話で、均等に流れる時間が大晦日の0時になった瞬間と前といかほど違うのか。
もっとも人間本来の感覚というものは、夜明けで明るくなって起きる時が1日の始まりだから、その時をもって新年というべきだろう。
0時をカウントダウンして祝うのは、まさに文明の力でもあり、発明された「時間」による呪縛かもしれない。
そもそも時が均等なものかどうかもあやしいし、もっと言えば時間というものがあるのかもわからなくなってくる。


もうひとつ重要なことに、時間とセットの「締め切り」の発明がある。
すべてを自然に委ねて流れる時間の中で生きて来た人類が、その時間に区切りをつけたことはまさに文明であり、人類を前に進める大きな出来事だったかもしれない。
元日という区切りが締め切りという発想と同じかどうか知らない。
でも新年には心もモノも入れ替えるという、今風に言えばリセットするという儀式があり、そうすることで新しい出発をするという前向きな発想もありそうだ。
対して締め切りは「終らせる」ための区切りかもしれない。
だとすれば「締め切り」には後ろ向きな面があり、締め切りに追われ苦しむ多くの人々がいる所以だろうか。
自分の音楽活動をふりかえっても、「締め切り」によって終えることのできた作業は多い。


そんなことをこの「忙しい時」にふと考えた。ここでそれらの善悪を云々しない。
ただ個人的には師走にバタバタして正月をゆっくりする風習は好きだし、もっともっとその「けじめ」を以前のようにはっきりさせて欲しいと願う。


楽家はこの「時間」に深く関わる人種でもある。
幸い回答に締め切りはないので、「新年から」ゆっくり考えようか!?




みなさん、本年もありがとうございました。
楽しく師走に追われて、新年をお迎えください。