salmosax note

音楽家・山内桂 の雑感ページ

 アジア13・サガイン

(3/13-15)
サガイン訪問の主な目的は1年前すでに達成しているので、今回は気負いもなく、ある意味目的もなく、次に起こるだろう出来事を楽しみに呑気な気分で訪れた。それと各所に「サガイン」の音楽CDRをお礼に渡して回ること。


前回泊まったホテルに行くと、高名な僧がサガインヒルに来ていて誕生日祝いのため、小さな街の二つ三つしかないホテルは満杯だという。一部屋だけ空いていて助かった。
街に着いてなんとなく小綺麗で静かになった感じがしたのは、そのお坊さんのせいらしい。なんだ、やればできるではないか、と思いつつ、どこかはぐらかされた気分だった。多分、それが本質的な変化ではないからだろう。


さて、ここまで既にナニカに導かれている感じはあって、ヤンゴンの学生、サガインヒルカップルなど、助けてくれる人がその時そこにいてくれる。
サガイン到着の夜、それはまた起きた。
まず、カフェを探そうと英語で尋ねた人がすぐに教えてくれた。ミャンマーで英語を話す人は決して多くはないのだ。で、カフェらしき所に着いたものの確信が持てず、そこに座っていたカップルに話しかけると即座に英語が返ってきて、それからかれらと話が盛り上がり、ぼくの滞在を助けてくれると言い出した。
翌日、父のいた事務所とサガイン駅を歩いてお礼参り。3時に約束通りカップルのエニウェイがバイクでホテルに迎えに来てくれ、父の隊長がいた建物に向かった。先の事務所に差し掛かった時、かれは指差してあそこがぼくの家だという。そこはなんとついさっき、父が住んでいたのではないかと歩きながら閃いた、事務所のすぐ裏手に数件ある家屋だった。そして交差点に事務所があるのだが、その角向かいで彼女のリリーが働いていて、隊長の家は現在リリーが勤める病院の看護婦の寮だった。
そこには寮長とか責任者などはおらず、誰にCDRを渡せばいいかの話になり、なぜか昨夜のカフェで彼らの英語の先生を紹介されることに。
その誰だか知らない人に何をして欲しいか、と言われて困りながら、サガインに来た理由やお礼をしたいとか昔の写真を見せながら説明している内に、彼が自分の父の話を始めた。サプライとも言っている。そう、父がいたのは貨物廠。そして彼の父もあの建物で働いていたと語るのだった。
70年前、父の元で働いていた青年の一人に間違いなかった。




サガイン3日目、翌日は去る日だ。近くのマーケットをぶらつく。相変わらず活気があっていい。みんながジロジロ見る。よほど目立って珍しいようだ。目を合わすと大抵ニコッと返してくる。日本ではこうならないだろな。


前日ぶらついていると駅長に見つかり、自転車を貸すというので駅へ。
暑い中を歩くのは本当に辛いので行ってみたら、結局1年前同様彼の運転手付きのバイクだったので、イラワジ河岸でゆっくりしたいのを諦めてまた例のカフェへ2人で。優しいおばちゃんはコーヒー代をとらなかった。


ホテルで一休みして5時にエニウェイが迎えに来た。例の英語の先生から家に招待があったのだ。若者も4、5人集まり、お礼に二曲演奏。エニウェイは彼の仕事でもある貴重なヒスイの数珠を、ぼくのために作ってプレゼントしてくれた。
その後若者たちと夕食会、そして4度目のあのカフェへ。最初の夜にミルク砂糖なしのコーヒーを注文して驚かせ、ぼくに淹れるよう言ったときよりは味がましになってきた。というか、前回今回と紅茶を注文するのにコーヒーが出てくるのだけど。
長らく彼らと談笑して再会を約して別れた。次回はコンサートを開いてくれるとも。
またおばちゃん、コーヒーをプレゼントしてくれた。